【第21話】父子家庭パパが所持金2万円からたった一人で子供2人を育てた10年間だったけど、これで良かったのか今でも分からずに文字にした全記録を、世に問いたい。

1 / 7 ページ

前編: 【第20話】父子家庭パパが所持金2万円からたった一人で子供2人を育てた10年間だったけど、これで良かったのか今でも分からずに文字にした全記録を、世に問いたい。
後編: 【第22話】父子家庭パパが所持金2万円からたった一人で子供2人を育てた10年間だったけど、これで良かったのか今でも分からずに文字にした全記録を、世に問いたい。

それから数カ月を無事に過ごし、特に兄からの接触もなく、この家を追い出されるようなことも起きず、年末に行われた県議会議員選挙で、兄は見事に当選した。

折しも、民主党政権誕生と相まって、世間的に無所属押しの風が吹いていたことも当選の要因の一つにはなったであろうが、良かったのか悪かったのかは、僕にはわからない。

あの時のあの出来事は、いったい何だったのだろうか。

ただ単に兄の虫の居所が悪かっただけなのか、本気でそう思っていたのか、もしかしたら、僕が兄にそこまでさせてしまう何かがあったのかはよくわからなかったけど、僕たちは家を追い出されることも無く、兄も当選し、一件落着したのだった。

それにしても、この一件で失ったものは大きい。

最悪の事態を想定して生きる、という僕の新たな生き方は、自分の考えや行動の如何によっては、さらなる最悪を引き起こす可能性があるということと、考えているほど最悪の事態が起こらないということもある、という新たな教訓と、子供たちとの何度かの旅行の思い出を僕に与えたのだった。

引き続き当面生活できるだけの家を確保したのだったが、いよいよ金が底をついた。

ヤフーのIDは情報販売のゴタゴタで剥奪されてしまっていたので、不用品を売って金を作ることも出来ない。

一つ状況が好転したことといえば、子供たちが大きくなりある程度兄弟だけで何とかできる部分が増えたことと、学校に行っている間は自由な時間が持てるようになった、ということだった。

よし、この空いた9時から15時までの時間を使った仕事に出るか。

この時間を有効に使うしか、僕たちに生きていく道はないし、全財産は早くも残り数万円、というところまで来ていた。

仕事を探すにもまだまだ色々と条件がある。その条件をクリアできるところでしか働けないのだから、仕事を探すのは簡単ではなかった。

まず、職場は家から近くないといけない。車で10分程度が理想。

そうは言っても住んでいる町は都会でもなく、世の中は相変わらずの不景気、さらには父子家庭というよくわからない生活をしている40手前のおっさんなわけだし、何かの時に子供を預ける人もいない。

近所にそうそう都合よく仕事自体がないわけで、さらには働くための条件がある。条件があるにも関わらず、雇い主側にとっては僕を採用するに躊躇せざるを得ない判断材料が山ほどあって、父子家庭という聞きなれない生活スタイルを説明するだけで煙たがられたし、いくら僕たちの置かれている状況を説明したところで理解してもらえることはあまりなかった。

「子供預かってくれる、面倒見てくれる身内の一人や二人誰にだっているでしょ?」と言われるのがオチで、ひどいところになると、いい年してこんなことやっていて大丈夫かと、子供たちのためにもしっかりしろと訳のわからぬ説教までされる始末。

仕方ないけど、これが現実だった。

世間は不景気で、みんな仕事を探している。こんな小さい町ならなおさらだ。雇い主側としては少しでも条件の良い人を選びたいわけで、誰がどう考えてもチョイスする相手が僕ではないことは確かだった。

長く調理の仕事をしていたということもあり、調理師としての仕事をメインに探した。

飲食店などは土日祝日がかきいれ時、できれば土日祝日は休みたいと言っている時点で、もはや採用の脈はない。

子供たちを一人で育てている以上、土日は休みたかったし、休むことでしか成り立たないものもある。

みんなの読んで良かった!