嫌いだった父が倒れたので、日本一周の旅に出ます。
父の自殺未遂事件の中で、母の中でなにかあったんでしょう。
私はそれまでこの事件のことは思い出さないようにしていました。
私たち家族にとって消したい記憶だと思っていたので。
しかし、母から離婚の報告を受けてからよくよく考えてみると、母を置いて自分だけ楽になろうとした父が許せなくなりました。
そんな訳で、父が嫌いです。
北海道で父と会ってからは一度も会ってません。
あれから10年くらいたつでしょうか。
そんな父に対する嫌悪感すら忘れていた先日、姉から電話がありました。
ちなみに、姉とは昔から仲が良くないので普段は全く連絡を取りません。
なぜか嫌な予感がしたので電話に出ませんでした。
というより出れなかったという表現が正しいかもしれません。
なぜか、出れなかったんです。
しばらくすると母親からも電話が来たので出ると、
母にわかったと返事をしたもののすぐに電話をかける気になれず、
久しぶりに父の事を思い返していました。
1時間ほどたったあと、ふーと息を吐いてから姉に電話をかけ直しました。
この時、家族が大変な状況になったというよりは遠い他人の身に何か起きたという感覚でした。
お見舞いに行きたいとも思いませんでした。
冷たい人間と思われるかもしれませんが、素直な気持ちです。
ただ、歩けなくなったというフレーズがどうしても頭から離れません。
数日間モヤモヤした気持ちで過ごしていました。
もし、自分の身に起きたら何を思うんだろう?
明日目が覚めて、歩けない体になったら、、、
もっと、いろんな場所に行きたい。
そうだ、日本一周の旅に出よう。
全国の風景を親父に届けて楽しんでもらおう、そう決めました。
歩けなくなって人生に失望しているなら、
少しでも生きる楽しみを感じてもらいたい。
どこかで、父が自殺未遂を起こしたのは自分にも責任があるのではと思っていました。
父を嫌いになることでその責任から逃れようとしていたのかもしれません。
こんな状況になった今でも、父は嫌いです。
でも、感謝はしてます。
私と、父のために、この夏が終わったら日本一周の旅に出ます。
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