パナマ運河が拡がった

2016年6月26日、9年掛かりのパナマ運河の拡張工事が終了して開通。当初の完成が1914年だから正に一世紀ぶり。通過できる船の幅が従来の32mから49mへ。

コンテナ船の場合、20フィートのコンテナ換算で5,000本が13,000本へ2.6倍。

ところが日本に寄港するコンテナ船の大きさは最大で10,000本積み、多くは6,500から8,500本に止まる。

理由は日本の港の水深。13,000本積みだと満載にした場合、岸壁の水深が18m必要。

日本には今の所昨年横浜にできた岸壁だけが対応できる。

その上海外ではあ当たり前のターミナルの24時間稼働も実現出来ておらず、我が国の港湾の魅力は無くなるばかり。

実際、世界最大のコンテナ船の運航会社マースクラインは日本発欧州向けの日本寄港を今夏で取り止めることを発表。日本発の荷物はアジアの港での積替えとなる。

現在、コンテナ輸送料金は低迷を続けている。続々と投入される大型船のスペース増に荷物の需要が追い付いておらずこの傾向はEUの混乱を考えると当面変わりそうに無い。

一方でコストが下がる船会社は益々生死をかけた値下げ競争に走ると思われる。

体力を失い続ける船会社の一方でユーザーであるメーカーに取ってはコスト低下の大チャンスである。


我が国への影響という意味で大きいのはLNG(液化天然ガス)船だろう。

米国産シェールガスブームは一息つき輸出は解禁されたが、この輸送船が従来はパナマ運河を通行することができなかったが最近の建造船はほとんどパナマ運河の拡張後をにらんだもの。

我が国のエネルギー調達先の多様化に大きく資するものだと思われる。

ただここでも心配は船会社がLNGが最後の成長力分野と挙って新造船発注をかけていること。

折角の「お宝」が新パナマ運河の開通による航行距離の減少、滞船の減少によるLNG船への需要減に繋がると不定期船、コンテナ船で起こった価格破壊が一気に進んで船会社の経営に打撃を与える恐れがある。


5,200億円の資金が拡張工事に投じられたがパナマ政府への収入は5年後には2,000億円以上と倍増する見込みなので、パナマ政府にとって有効な事業であることは間違いなさそうである。

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