15%
15%
昨日、この地区での進学データを載せておきました。年度による変動はあるけれど、地元の中学校から進学校と呼ばれる四日市高校、桑名高校、川越高校に合格できるのは、上位の15%ほど。つまり、クラスで5番まで。
その四日市高校でも、旧帝と呼ばれる有名大学に合格できるのは、上位の15%ほど。桑名高校では、3分の1の5%ほど。この数字は、受験地獄と言われた頃も、ゆとり教育と言われた頃も変化はない。
そして、合格していく子はいつの時代も似ている。規則的な生活習慣ができていて、計画的に勉強を進めていく。そして、すぐに忘れる自分に絶望しても、諦めずにチャレンジを繰り返す。
逆に、落ちる子も共通の特徴がある。遅刻の常習犯で、授業中でも私語に興じる。ペンを回す。授業中にトイレに立つ。宿題はやらない。「なんとかなるさ」と計画的に勉強しない。そして、簡単に諦める。
塾に来てくれる中学生の頃には、そういう生活習慣も性格もできあがっている。プロの塾講師なら、3回授業をやれば、その子が難関校に合格できる子か、ムリな子か分かる。
もちろん、稀に劇的な変化をする子もいるが、それは例外であって1000人に1人くらいだろうか。それも、大病など極めて苦しい経験をした子だけの現象だ。たいていの子は、絶望的な成績にもかかわらず、教師の言いなりでクラブをやり、生徒会をやる。
帰宅後も、趣味やら、習い事やら、恋愛やら、ファションにうつつを抜かす。このままでは志望校に合格できないことを説明しても、「私は先生とは違う考えです」と言って、議論をしかけてくる子が多い。
何十年も、何百回も同じことの繰り返し。今は「可愛い子には旅をさせろ」など死語となっていて、親は過保護かつ甘やかすのが当たり前になっている。でも、成長や進歩のためには、厳しい鍛錬が必要なのは、言うまでもない。
塾業界も、「こうすれば誰でも合格」などとウソばかり。そして、有名タレントを使って誰彼構わず生徒を集めようと死に物狂いだ。まことに嘆かわしい。
勉強で勝負しようという人は、「上位の15%」に入っているかチェックした方がいい。そうでないなら、別の道を探すべき。勉強で勝負する職業の方が少ないのだから、気にする必要はない。
鈍足なのに、アスリートをめざすとか、オンチなのに、歌手をめざすなんて馬鹿げている選択なのだ。そこを見極めないと、受験産業のエジキになるだけ。
私がこんなことを書く理由は、アメリカの中学校での指導経験のせいなのだ。アメリカの中学生は日本の中学生より、のびのびとしていた。勉強ができる生徒が特別扱いを受けることはない。トラックの運転手の方が、教師より手取りは多い。
大企業に勤務するのは無能の証のように考える人も多い。本当に力がある人は、独立してガレージでも事務所を開くはずだと考える。そうして成り上がった人が大きな報酬を受け取る。尊敬される。
ところが、日本はどうだろう。私は、アメリカ式の考え方が好きなので自塾を開設したが、結婚する時は「こんな仕事をしているヤツに娘はやれん」と言われ、融資を受けようとしたら「個人塾など負け組みよ」と罵られた。
指導させてもらっている生徒も、そういう社会を知っているので、大企業に入れない(つまり、勉強ができない)と、悲しいくらいに卑屈になる子が多い。見ていられないのだ。
明らかに勉強に向いていないのに、「桑高に合格させてください」と言われても、無理なのだ。もちろん、仕事だし、「わかった」と言ってもらえるのは嬉しいので指導はさせてもらう。
しかし、それでは難関校に合格できるレベルにはならない。
塾や予備校は、「教えれば、誰でも100点がとれる」という言い方をして生徒を集めるが、そう信じている講師など1人もいないだろう。英語が話せるようになった同級生は何人みえますか?アスリートや作家はどうですか?
どの職業でも、プロになれるのは何万人に1人です。それが、現実なのに「頑張れば大丈夫」などというウソを言うのは間違っている。
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