フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第2話

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思えば  あの日が全ての始まりだった。



平和で穏やかで  少しだけ退屈な日々を重ねている

こういうのを幸せっていうんだろうか

そもそも幸せって何を基準に言うんだろ


そういえば   あの頃だって あった

過酷な運命を呪うばかりだったというのに

ほんのひと時だけ……

身体中で幸せをかみしめてたっけ



私の昔話に少しだけ付き合って頂きたい。




あの日が私の運命を大きく変えるとは

知る由もなかった。

当時 大学2年生だった。

私は夜の雨の中を駆け足で走っていた。

充電の切れた携帯電話を握りしめたまま

駅前の電話ボックスに飛び込んだ。

息を切らしながら財布からコインを取り出し入れる。

5コールめであの聞き慣れた不機嫌な声が流れてきた。

「…はい」

「あ、ワタシ。桃子」

「何だよう。今頃」


「タッくんごめんね、ホントに。携帯死んじゃってさ。バイト勝手に延長させられるし」


「……」


「待ったよね、ホントにごめん」


「充電しとけって言ったろ、マジでお前って学習能力ゼロな」


何も返す言葉がなかった。

もういいわと言ってプツンと電話が切れた。

私は肩を落とし電話ボックスを出て

乗ってきたばかりのバスに再び乗りこんだ。

ダメかもしれない、フラれる…    だろうな、きっと。

私は窓を叩きつける雨粒を見ながら思った。

タッくんこと川越拓也は今年の春、合コンで知り合った。

彼から誘われ何度か会ううちにそういう関係になった。

大学も割と近く、互いの学食で一緒に食事したりもした。

学費も偏差値も超高いS大学に通う彼だが、

なぜか、信じられないほど物覚えが悪かった。

いつもクールなイケメンを気取り、鏡の前に立つとしばらくは動かない彼が

両親からもタッくんと呼ばれていると共通の友達から聞いた。

でも彼はS大学ということで女子らの中で競争率が結構高かったそうだ。

性格も気分屋で自己中な時が多いが

根は正直で真っ直ぐなところもあるので嫌いになれないのだった。

はあ……

私はため息をついて時計を見た。

もうすぐ夜9時半。

お腹が空いた。近所のスーパーに寄って帰ろう。

閉店間際だからきっとお弁当も半額になってるはずだ。

その時

不吉な予感がした。

何だろ?  今の感じ。

そうだ…  鞄だ。たった今、鞄に手を入れた時の違和感だ。

私はもう1度、鞄のに手を突っ込み、今度は顔を近づけて中を覗き込んだ。

ない……

嘘……

何度見ても入ってなかった。

携帯と財布

目の前が真っ暗になった。

財布には、ATMで下ろしたばかりの実家の母からの仕送りがそのまま入ってる。

シングルマザーの母が生活を切り詰めてパート増やして工面しているのを知っている。

 どうしよう…

どこだ?  どこに置き忘れたんだ?     盗まれた!?    バカな!!!

ダメダメダメダメ!  ……落ち着いて   最後に見たのは…

思い出そうと懸命にパニック真っ只中の頭を振った。

脳裏に先ほどの電話ボックスが浮かび上がった。

そうだ…!

あそこだ……

そうだ…わかった! 電話する時 慌ててたから

お金を取り出した後、無意識に電話機の上に置いたんだ、間違いない!

携帯もその上に置いたはず。

私は次のバス停で降り、再びバスを待った。

バスはすぐには来なかった。

歯がゆさに地団駄を踏みたくなるのを堪えながら待った。

止まったバスに再び乗車する。

嫌な予感は  収まらなかった。

駅前のバス停に戻った時、財布と携帯電話を置き忘れてから

すでに1時間近く経っていた。


バスを降り電話ボックスへと全力疾走した。

電話ボックスが遠くに見えてくる。

私は目を疑った  いや  予感はしていた。

その通りだった。

遠目でもわかる。

そこには私の大切な 落し物は  なかった。


嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘!

交番で盗難届を書いている時も

何度も何度もこの言葉を頭の中で吐き続けた。

バカやろう!なんて私はバカなんだ!


交番に届けた後

私は脱力したまま足取り重く、再度バス停まできた。

でも、すぐにその場を離れた。

私にはバス代すらないのだ。

バスで30分の道のりを歩いて帰るしかない。

泣きたくなった。


駅からすぐのところにある公園のベンチに座り

私は今後のことを考えていた。

仕送りはパー

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