ファイナンス入門 (20) 28兆円の景気対策

前話: ファイナンス入門 (19) ESG投資とは

政府は28兆円の景気対策を閣議決定。しかしながら株価は下落、為替も円高に。アベノミクスのメカニズムが働いていないことが露呈された。

市場が見破った「誤魔化し」の一つは28兆円と言ってもほとんどが国の予算では無い事。

国の歳出は6.2兆円。地方の歳出を加えても7.5兆円だ。

これは決して小さな金額ではないが過去のものに比べてとてつもなく大きな金額でも無い。

これに公的金融機関から融資される財政投融資による公共事業6兆円を加えても半分に満たない。

あとの半分は政府からの補助金を受けて行われる民間事業、公的金融機関からの民間事業。

「アメ」をぶら下げても民間の投資に結びつくかどうかも疑問視されている。

なおかつこの28兆円、複数年執行という事で単年度の支出では無い。

かなり水ぶくれで、眉唾ものとさえ言える。


中身を見ていくと、財政出動の中国によるものは「一億総出動」「働きやすい国」「格差是正」とアベノミクスの美しい理念を実現する為の施策と言われるが、保育士・介護士の処遇の改善、雇用保険料の引下げ、年金受給資格の緩和でどれだけ景気浮揚の効果があるだろうか。

例えば保育士の給与は月6千円引き上がられるが、この6千円で安心した生活が出来ると消費を増やすやというとノーと言わざるを得ない。

働きやすい社会の創設は確かに重要だが、景気浮揚策としては力不足。


公共事業もしかりで、山梨、長野を経て名古屋に至るリニア新幹線の前倒。

前倒しするのは未だ環境評価も終わっていない名古屋ー大阪間。

直ぐに工事が出来るわけでも無く即効性は無い。

全てについて言えるのだが、財政出動は将来の投資を前倒しすることによって産業の生産性が向上するので無ければ単に将来の支出の先食い。将来その分の支出が減少すると分かっていれば誰も消費を増やさない。


本当の意味での「国の力」を再生するには、外国の企業、人が入ってきて投資や消費をしてくれる魅力的な制度を作るべきだ。煩雑な行政手続を簡略するのも必要。

既存の利益の保護を薄くして競争を促す必要もある。

そうすれば自ずと税収も増え社会的な格差是正の所得の再分配としての機能も増すことができる。

これらが本来、アベノミクスの「第三の矢」であったはずなのだが。

新生安倍内閣には市場の声に再度耳を傾けて頂きたい。


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