小さな命を失った日

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手が震えていた

正解が分からないのと決断の怖さ責任の重さに

この場から逃げたかった

そして震える小声で胸元にいる長男に話かけた


『父さんは君の弟を殺さなければならない

ホントは生きれる道も可能性もあるんだけど

君のお母さん無しで

今の僕だけで君を育てれない

ホントにごめん、許してほしい・・』

長男は意味が分かるはずも無い

僕はただ許しを貰うかのように話しかけた


そして


妻を・・母体を優先でお願いします。と医師にお願いした


その後、緊急処置と診断を終えた妻が

ベッドに寝た状態で出てきた。

虚ろな目に生きる目をしていない感じだった

酸素マスクをしていたが意識はあった


医師はこう説明をする

『お腹の子ですが心拍数はほぼなく多分ですが

すでに亡くなっており死産となります』と

母体に対して気を使ってくれた説明だった。 

実際はまだ生きれるし可能性はゼロではない

けど今はこうした気遣いが精神的な面で妻を支えた


自分の決断は間違っていなかったよね 

と自分を信じるしかなかった

出産させる反動で母体が死んでしまう

しかも出血しており危険な状態で更に帝王切開での出産

どう考えても妻は死ぬ

そして生まれる子も生きれるかどうか分からない・・

そんな生死の賭けは出来ない。


その後

陣痛促進剤を打ち

うまくいけば自然分娩で取り出せるとの判断で 

6時間後

自然分娩が成功

妻が無事だった結果にホッとした


死産ででてきた子供とも対面

手も 

足も 

頭も 

爪まで 

完璧に育ってました 

何が足りなかったのか 

足りなかったもの 

運と時の流れ 

まだ生まれる為の時を過ごさず 

そして逆子だったと言う運を味方にできず 

目をつぶって、手を組んでいました 

やわらかい体にかわいい指 

触れたその時やっと実感が湧きました

そして死産を受け止めました


めまいに似た症状に

胸が痛くなり

おう吐を繰り返した

涙も止まらず

苦しくて苦しくて


妻には本当の事は言えない

この日記もMixi日記は非公開にしています

皆様に報告したのは

心配を掛けてしまった内容の一部始終であり

こうすることで供養になればと思いました


また生まれ変わるその日まで待っててくれ

今は妻のメンタルに気を使ってあげたいです 

・・・・・・・・・・・・・mixi日記より・・・・・・・・・・


あの頃の自分へ 

今思い返しても胸が痛みます

その後ですが2012年2月に長女が誕生しました

生まれ変わりだと私は思っています


実はこの日記の次があり

生まれ変わりという内容ですが供養的な考えでもあり

その日記で記載されています

こうした死産を経験した人だけが経験できる内容なので

機会があれば物語を紹介します


当時のあの精神状態で

一人でよく色々と乗り越えたと

褒めてあげたいです


あの時の記憶は少しずつ消えてきてはいますが

こうした積み重ねの上で

今の自分がいるんだと

そう自覚しています

あの小さな命の大切さを知っているからこそ

今いる子供たちを精一杯

愛情を注ぎたい


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