友達が0人になった後、自分の生きる道が見つかった話 第一話
中学時代、友達が誰も居なくなった事があった。
正確に言うと、それまで友達だった人間達との交流が、完全に途絶えた。
原因は私だった。
それまでの私は、友達だった仲間の短所をネタにし、笑い話にする様な人間だった。
最初はみんな寛大にそのキャラクターを受け入れてくれていたが
調子に乗った私は、次第に態度を増長させ、只のKY野郎になり、
全員から総スカンを食らった。
そこへクラス替えも加わり、私の悪評は全クラスに行き渡り、
本当に誰からも相手にされなくなってしまった。
全くの自業自得だった。
最も辛かったのは朝だ。
学校の朝というのは、大概みんな楽しそうに友達と喋って過ごしている。
私はその中で一人何をするわけでもなく
みんなの中で浮いた「異物」として授業の開始を待たなけれはならなかった。
多くの人は忘れていると思われるが、学校という場所は想像以上に閉鎖的である。
逆らえず、逃げられず、変えられない場所である。
1年生の4月に「う○こ」と仇名をつけられれば、卒業まで「うん○」と呼ばれ続けるのである。
当時は、本気で自分の人生は「終わった」と思っていた。
皆が楽しそうにしている分、自分の孤独が辛かった。
ある日、サッカー部員の数名が、私の方を見ながらニヤニヤ話をしていた。
私の中で、運動部の人間というのはタダでさえ苦手だった。
運動ができるという事は、その時点で自分より人として優れていると、無条件で思い込んでいた。
その時も、そのの優れた人間達が私を見て笑っているのだから、
どうせ陰口なのだろうと思い、目を合わせない様にしていた。
そこへ、その中の一人のサッカー部員が話しかけてきた。
私の額には、一日中突っ伏していたおかげで、ブレザーのボタンの跡がくっきりとついていた。
よほど滑稽だったのだろう。彼らはしばらくの間笑っていた。
すると、別の一人がこんな事を言い出した。
ジュース買って来てよ。
要するにパシリである。
頼まれた品物は今でも憶えている。
50円のコロッケ3つに、白葡萄ジュースを1つ、午後テ○ーストレート1本…である。
余りにも久しぶりに学校で会話をしたので、最初に感じたのは「戸惑い」だった。
しかし、私は考えた。
このまま誰とも会話をせず、殻を閉じたまま
自分は生きていきたいのだろうか?
否。
たとえパシリでも、彼らは私を必要としてくれたのだ。
その気持ちには応えたい。
彼らが差し出す小銭を受け取り、私は校舎の橋に存在する学食を目指し、走り出した。
プライドを全て捨て、ただ、自分に与えられた役割を果たす事だけを考えて走った。
3次限の始まりまであ、あと7分という時間だった。
そしてこの瞬間から、
私の人生は大きく変わったのだ。
(二話へ続きます)
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