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16/9/5

バランスの薔薇⑦「最大限のサプライズの計画」

Image by Olia Gozha

僕には、秘策があった。

輝樹がユカリちゃんへのプロポーズで最高のシチュエーションをする為には、これしかないと思っている計画がある。

僕らの街では夏に毎年行われる大きな花火大会がある。全国的にも有名で様々な人が訪れる花火大会だ。

その企画の1つに「伝えたいコーナー」というモノがある。

花火大会の開始前に一般公募から集い、誰かから誰か大切な人に想いを伝える企画だ。

大勢の前で大切な人に伝える言葉って、中途半端な気持ちでは言えないし、それなりに度胸がいる事だ。

大切な人に伝える言葉とは、20年間育ててくれた子から親への感謝の気持ちであったり、辛い時にいつも支えてくれた友人への感謝の気持ちなど様々な内容がある。

しかし、毎年必ずあるのは「彼氏から彼女へのプロポーズ」感謝の気持ちを伝える為には最高の企画だ。

僕はその「伝えたいコーナー」の運営者の人が昔からの付き合いがある人がやっていたので、そこで輝樹に出場させようと計画していた。

しかし、毎年プロポーズなんてお決まりでやっているから、そんなのは面白くないと思い、ピアノを弾いてから歌を歌ってプロポーズしよう!という計画を立てた。

その内容を輝樹に伝えると

「え、何万人もの前でプ、プロポーズか。。

ま、やってみるか」

その返事を聞いた時からの僕らの動きは早かった。運営者にすぐ連絡をして、輝樹の枠を空けてもらうように頼み、ピアノなんて引いた事ない輝樹を音楽スクールに通わせた。

プロポーズする時はカッコイイ衣装が必要だと思い、タキシードまで探しにいった。

2015年の夏は想い出に残る夏になる事だろうと、輝樹や僕を含めGメンのみんなにとっても最高の夏になる事だろうと思った。

きっとユカリちゃんは、驚いて喜んだ顔を、するのだろうか、それとも喜び過ぎて泣き崩れてしまうのだろう。

そんなたわいも無い話を毎日しながら、時は流れていった。


※これは実話元にしたフィクションです。実際の登場人物名、場所は関係ありません。





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