どん底からの大学受験⑥
もう一回やってみよう
帰りの飛行機の中でも受験勉強をするほど全力だった。日本に戻ってきたのは6月。受験まで半年程度しかない。そのため、1年半をかけて挑戦しようと考えた。このときすでに5浪目。6浪することを決意し、これで最後にしよう。そう誓った。
状況そのものは変わらない。金銭的に余裕はなく、学力も乏しい。今までと同じようにアルバイトをし、勉強をした。生活スタイルはいつもと変わらない。しかし、圧倒的に気持ちの入り方が変わっていた。この感覚は、高校生のころ自分が抱いていた感覚とほぼ同じだった。ただ、がむしゃらに前に進むことを意識していた高校時代とは違い。先のことを意識するようになった。
お金や時間の使い方も変わったものの、あるものと戦い続けることがつらかった。
「孤独」
である。お金がない生活や焦燥感にかられる生活にはすでに慣れていたが、孤独感には常に悩まされていた。とにかく耐えるしかなかった。孤独は人を強くするという言葉をどこかで聞いたことがあった。それを信じた。今までだってなんとかやってこれた。もうやるしかない。
貧乏、学力不振、孤独、それに伴う頭痛や吐き気などの症状。どん底でありながらも、やっぱり大学へ行きたいという気持ちが自分を動かそうとしてくれた。なんでこんなに大変なんだろうと思いつつも、これを乗り切れば、ものすごい人物になれるような気がした。最後の挑戦、どうなることやら。
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