1%の方に語りかけているにしては、読者が多い。
1%の方に語りかけているにしては、読者が多い。
東大や京大やと騒ぐのは受験生だけ。英検1級や通訳ガイドやと騒ぐのは英語学習者だけ。そんな人は社会に1%もいなくて、ほとんどの人にとっては、「どうでもいいこと」。
塾講師が困る時って、いろいろある。たとえば、全く勉強ができない子を相手する時。勉強ができない子は、問題の難易度も判断できない。だから、クラスで一番の子でも難しいような難問を平気で質問してくる。
基本ができていないのだから、説明しても分かるはずがない。
「キミは何も分かってないから、この問題をやる必要はない」
というのが、正直なところ。
しかし、現代日本ではこういうことを言うと
「差別だ!デキスギくんには説明していたのに!」
と、興奮する。親からも抗議がくる。
だから、絶対に理解できないと分かっているのに解説させられる。虚しい・・・。
逆の場合もある。
私の同僚は、こういう勉強のできない子の指導が好きらしい。学年で一番の子の持ってくる質問は難しいらしい。そして、解答するのに時間がかかると
「もういいです」
と、あからさまに侮蔑の表情をして去っていくそうだ。
「あの子の指導は、絶対にイヤ!」
と言う。
医者が外科や内科などに分かれているように、塾講師も「できない子指導講師」や「できる子指導講師」などに分かれる。どんなタイプの子の指導もできる講師など、この世にいない。
女医さんって、カッコイイ。
だから、ごちゃ混ぜの公立中学校の先生は、不可能なことを任されている。現実には、中間の子に向けて授業をし、教材を作っている。下層は落ちこぼれ、上層は浮きこぼれている。
教師や講師ができることは限られている。生徒本人が勉強を始めないと、何もできない。勉強を始めたら、それに手を貸すことはできる。学校や塾を
「遊びに行くところ」
と認識している子には、何もしてやれない。そういう子のための高校も、大学も、塾もあるのだから当塾では、何もできない。
ここ10年間の経験から分かったことは、私の言葉に耳を傾けてくれる子は中学校なら上位10番くらいまで。四日市高校、桑名高校、川越高校で上位の野心的な子だけだと分かった。
つまり、私はできる子向きの講師らしい。これに関して、私には選択権がない。どういう種類の講師であるかは、生徒が決めること。いくら落ちこぼれ向きの講師になりと願っても、生徒がそう受け取らなければ選択の余地がない。
授業は、生徒と講師がつくるものだから万人向けの授業というものは存在しない。
第一志望はゆずれない
これが、講師の都合・論理だけれど、生徒の方はどうやって予備校や塾を決めるのだろう?大多数の方は、知名度で決める。予備校なら、河合塾や駿台の知名度が高い。やはり、1番でなければならない。2番手からは無視される。
では、なぜ河合塾や駿台の知名度が高いのか。それは、塾生の数の多さだろう。では、なぜ塾生が多いかというと信頼感やイメージがある。つまり、河合塾や駿台の模試や教材が定評あるからだ。
しかし、それなら「三大予備校」と言われた代ゼミが教室を7割も閉鎖したのは何故だろう。東進衛星予備校がとって代わろうとしている。駅前に巨大なビルを建てて、同じように模試をやり教材・テキストを発行していた。
実は、少数だけれど強力なグループがいる。それは、東大、京大、阪大、名大、北大、東北大、九大の旧帝受験者だ。こういう受験生は厳しい選別眼を持っている。旧帝受験生は、人生を賭けている子が多い。
だから、模試でも合格判定が当たらないと信用しない。テキストを発行しても、質が悪いと信用しない。良し悪しを判断できる目を持っているのだ。授業もそうで、もはや東進のDVD授業ではダメだろう。無名の塾のYoutube動画でも良いものがある。
そのことが分かっているので、どの予備校も塾も「旧帝合格者」の発表に力を入れている。どんな巨大な予備校になっても、一日で信用を失い崩れ去っていくものなのだ。
三重県の片田舎の無名の個人塾である「高木教育センター」が添削をやると言っても誰も振り向いてくれないと思いますか?4年前に始めたのだけれど、順調に合格者数を上げている。
高木教育センター
2016年度
京都大学「医学部」、京都大学「理学部」、大阪大学「人間科学部」、名古屋大学「経済学部」、名古屋市立大学「医学部」、神戸大学「経済学部」、御茶ノ水大学「理学部」
2015年度
京都大学「経済学部」、京都大学「総合人間学部」、東京医科歯科大学、大阪大学「外国語学部」、東工大、名市大「薬学部」。
北海道から鹿児島県まで申し込みがあった。やはり、真剣な子たちは違いが分かるのだ。
では、保護者や受験業界以外の人たちは何をもって予備校や塾の質を決めるのかといえば、こちらはマスコミの判断が全てらしい。テレビで有名なタレントが宣伝をし、有名なアニメが宣伝する。
あるいは、暴走族講師や美しすぎる講師などをテレビ番組がとりあげると、その予備校や塾に生徒が殺到する。その番組で取り上げられるにはCMのスポンサーになると待遇が変わるらしい。
したがって、以前は資本金の大きな企業塾にしかマスコミに露出できるチャンスはなかった。ところが、ここ10年くらいで急速にネット環境が整備されてきた。私のような小規模の塾でも Youtube に投稿できる。ブログを書ける。ホームページを持てるようになった。
以前は、ここに英検1級、通訳ガイドの国家試験、国連英検A級、ビジネス英検A級に合格した、アメリカで教師をしていた、京大を7回受けて成績開示をした講師がいることを広報できなかった。
今なら、個人でも
「ここに京大二次で英語8割、数学7割とった塾講師がいるよ」
と、その存在を知らせることが可能となった。
生徒の方や、保護者の方の選択肢が増えることは、良いことだと思う。
ところで、受験勉強とは何だろう。もちろん、高校や大学に入るための試験なのだけれど、それだけのことなら就職や結婚の時に「学歴」がこれほど重視されるわけがない。
一般に、もっと違ったものと受け取られているようなのだ。つまり、
「受験勉強を頑張ったヤツは、規則正しい生活をし、上昇志向が強いだろう」
といった、人間性に関る判断材料となっているのは間違いない。それは、長年受験指導に携わった者として当然に思われる。勉強ができる子は、例外なく計画性があり、機転がきき、理解力があり、前向きな子が多い。
もちろん、変と言われる部分もある。たとえば、私は学生時代から群れるのが嫌いだった。チームプレーを要する競技が嫌いだった。酒もタバコもゴルフもギャンブルも一切やらないので、同年代の人とあまり付き合いがない。
そして、ひたすら仕事に打ち込んだ。つまり、30代、40代、50代とずっと英語や数学を勉強し続けた。気づいてみたら、これはかなり「変」だったらしい。センター試験の入り口では不審者扱いを受けたし、京大への送迎バスでは
「すみません。保護者の方は乗れないんですよ」
と断られる始末だった。
からすま京都ホテル。お勧め。
いずれの場合も、事情を説明したら驚かれてみえた。変人なのだろう。それが、全く気にならない、どうでもいいことに思えるのだ。
実は、これこそが集客の要になっている。私の塾に来てくれる子たちは、
「先生とは、何かと共通点が多いと思います。おっしゃることに共感できるんです」
と言ってもらえることが多い。
もちろん、逆の子もいる。
「先生の言うことに、同意できません」
と言って、塾を去る子もいるわけで、これはどうしようもない生き方の問題。結局、高学力の子ばかりが残ったのが現状だ。
よく、
「賢い子しか受け付けない」
と、批判されるが、私がその道を選んだのではなくて、高学力の生徒の方ばかりに支持された結果で、生徒の方がこの塾の方向性を決めたわけなのだ。
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