20年振りのランチ

今を遡ること20年前。当時の僕は苦学生でした。

自分で言うのもおかしいですけどね。当時の僕がどんな状態だったか、というと

・銀行から学資ローンを借りて専門学校に通っていた。

・利息は家賃として家に入れていた。

・日々の食事代や交通費、家で食べる食事以外は全て自分で払う

・とにかくアルバイトしないと生きていけない

という状態でした。


同級生は親が払った、卒業後に親に返す、などそういった人々で、学生生活を満喫していたように感じましたが、そんななかでとにかく金が要るんだよ、という生活と精神状態でした。

視野が狭かったんでしょうね、世の中は不公平だ、とひたすら拗ねていました。


お金がないので、バイトに明け暮れたり、誘われても遊びに行くのはあまりできず、(すいません見栄はりました。そんなに友達いなかったんで断るほど誘われていません)とにかく金がない、金がないという学生生活で周りにも自分がいかに金がないかを自慢じゃないけど、吹聴している、そんな輩でした。


当然、できるだけ支出を避けようとしますので、金がなくなれば禁煙、酒は元々飲めないからいいとして、昼飯なんかも削ってました。

学生時代、昼飯は大体が最上階にある売店のオバちゃんが握ってくれる100円のおにぎり。これを2つと100円のジュース1本。この300円でなんとかしのぎます。

これがお金あるときのメニューで金ないときは、我慢してた。で、夜はバイト先で食べるか(野球場は一応弁当出た)、飴玉を舐めてしのぎます。そんな学生でした。


それでも週に1回だけ昼飯を腹いっぱい食える日があるんですよ。

それは火曜日。毎週火曜日に教えに来る先生が午前中の授業でして、授業が終わるとちょうどお昼でした。先生は仲の良い生徒とそのグループ連れて昼飯連れていってくれるんですよね。場所は学校近くの喫茶店。毎週火曜日はそこで、ランチをごちそうになるのが習慣になっていました。また、これが美味いんですよ、量もそこそこあるし。


今の自分の収入や状況ではとてもじゃないけど、頼めないランチでした。

贅沢にも食後のコーヒーなんかも頼んじゃって。みんなでタバコ吸いながらデザインとか社会に出てからの話なんかをしてたのを覚えてます。

つい先日、仕事で昼からお客さんの会社のWEBサイトのリニューアルで社員さんや社内の撮影があり、それが学校の近くでした。


卒業してから20年間。近くを通ったり、前を車で走ったり、学校自体に顔は出したことはあるものの、その喫茶店に行ったことはありませんでした。

ちょうど、お昼だったし、お客さんも昼休憩入ってるとのことだったので、その喫茶店でランチを食べることにしました。


駐車場から少し歩いて、その場所に店があるのは知ってるけど、同じ店かどうかはわからず、少しドキドキしましたが、店の前に立つと、懐かしい、当時のままでした。

扉を開けて店内に入ると、そこは20年前と変わらない風景でした。椅子やテーブル、雑誌の置いてある場所もそのまま。すこしいびつなレイアウトの店内。よくわからない場所に置いてあるレジ。

なにもかもが20年前と同じで思わず店内見渡して、少し立ち止まってしまいました。

いつも僕らが陣取っていたテーブルには先客がいたため、そのテーブルの横の席に僕は座り、ランチを頼みました。


ランチは3種類。これも変わっていません。メニュー詳しくは覚えてませんが、僕は大体生姜焼き定食かパスタを頼んでいたので、Cのパスタを注文しました。

そして、20年前に陣取っていたテーブルを見て、当時を思い出してました。先生が学生だったころの話やパチンコで食っていた、業界大変だぞ、とか今思うとマイナスな話ばっかでしたけど、社会を知らない学生の僕からしたら面白い興味深い話だったよなぁって。


そうこうしていたらパスタがテーブルの上に置かれ、お客さんも次から次へと入ってきました。

わりかし人気店なんだな、と思いつつパスタを貪りました。当時の味でした・・・と言いたいところですけど、当時の味を覚えてるほど味覚に自信はない。


でも美味しかったですよ。食べ終わって、コーヒーも飲んで、思い出にも耽りました。

そして、レジに向かい支払いをしようとしたのですが、レジの場所がわからない。この店レジが入り口にないんですよね。


キョロキョロしてたら店員さんにうながされ、レジの場所を教えられました。

レジで支払いをする際に20年ぶりなんですよって言おうかと思ったんですけど、当時からいた店員さんかわからないし(というか多分違うし)、そんな話をされても迷惑かと思い値段を確認しました。


ランチ、コーヒーついて820円。安い。激安とは言わないけど、安い。そうか20年前はその820円は僕にとっては3日分に近い食費。そりゃ高価なランチだよなぁ、と。

20年前は高価と思っておごってもらうしかなかったランチを自分で食べられるようになったんだな(低い価格帯ではあるけれど)、と。妙に感慨深く感じた出来事でした。

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