世界47カ国女子バックパッカーができるまで(10)

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時には現状を受け入れることも必要だ

私は心斎橋の地下鉄を息をきらしながら走っていた。


ハア、ハア、ハア・・・


ひょんなことから行ったバイトの面接。仕事の中身がどんなかも知らずに、自分の無知さに驚いたある秋の日。

待合室にいた、髪の毛濡らして肩を震わせる普通の少女。そして、普通と思えないような状況を何かネジを緩ませてしまったように語るギャルたち、白い合皮のソファ、部屋中に染み付いた消毒液のような香り、エルメスのトートバッグ・・すべてが自分の住んでいる世界から、あまりにもかけ離れていた。


男性スタッフの目が離れたすきにトイレに行くふりをして逃げ出した私は、細く薄暗い廊下を通って裏路地へ走り出し、そのまま無我夢中で大きな道路を目指した。地下鉄の駅へ潜ると、さすがにもう追ってはこないとは思ったが足はまるで意思をもったかのようにして人の流れの中をもつれるように前に進んだ。


学生寮にある、自分の寮に戻ったのは夕焼けも差し迫る時刻だった。

寮の玄関を開けると、同じ学年の女の子がちょうど玄関前を通りがかったところだった。

同期
あ、ケイシー!どこ行ってたの~?今から食堂に行くけど一緒にいく??


毎日見慣れている彼女の顔が、いまの私には眩しかった。

自分が日ごろ見慣れている日常は、あたりまえではなかったのだと心底感じた。


ケイシー
あ、ありがと。でもちょっと今食欲なくって・・また後で行くね

私はそう言って、自分の部屋へ上がるとひと呼吸して、床に崩れ落ちた。

『時には、現状をうけいれることが必要だ』

頭の中で誰かの声がそう言った気がした。


仕方ない。

最後の手段をとることしか、他に道はない。





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世界47カ国女子バックパッカーができるまで(11)

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