人生に必要なことは全て旅先で学んだ:あなたの心にヒーローを

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先ほど来る時に言葉を交わしたルカが隣に座って、ニコニコしながら気さくに話しかけてくれた。


簡単にルチャのことを説明してくれた。




全部で5試合あり、1試合20分3本勝負、賭け事も行われており、写真を撮っているのを見つかるとカメラを没収されるなどなど。


そしてルカがお気に入りのミスティコは5試合目のオオトリで登場するらしい。




人もどんどん入って、2F席も満席に近くなったとき音楽とともに選手入場が始まった。


ルチャの試合は基本的に2対2のタッグマッチ戦で、分かりやすいくらい善悪役が判れている。


ヒーロー側は白っぽい衣装でさわやかな雰囲気。


ヒール側は北斗の拳やマッドマックスの世界だ。




観客もわかりやすい声援を送る。


ヒーローには歓声を、ヒールにはブーイングを。




試合が始まった。


いきなりの大歓声が周囲を包む。


筋骨隆々の大男同士がぶつかり、破壊力のありそうなプロレス技が次々極まる。


とにかく技も動きも派手だ。


知らず知らずに自分も大声で歓声をあげている。




1本取るのにわずか5~6分ほどでサクサク試合が進む。


必ず3本目までもつれ、盛り上がりどころを作ってから試合が決まる。


1試合目はヒーロー側が勝ったら、2試合目はヒール側が勝つといった流れがあるようだ。




大声をあげ、応援したり盛り上がったりしていると知らないうちに全身汗だくになっている。


周囲の人もニコニコ笑顔が絶えない。


そうこうしている内に第3試合が始まった。




あ!宿で今夜の試合を誘ってくれたオクムラだ!


なんとヒール側での入場だった!




ルカが、「オクムラはヒール側だからあまり応援できないけど、お気に入りの一人だから心の中で応援してるんだ」とはにかみながら教えてくれた。




試合が始まった。


オクムラはヒールっぽい立ち回りをしながらじわじわヒーローをいたぶる。


強烈な大技が次々極まる。


俺は無我夢中で声を張って、「オクムラーー!」と全力で応援していた。


オクムラがやられそうになると全身で声援を送る。




隣の少年は全力で応援している俺の姿に驚く様子を見せるが、すぐに一緒に応援してくれた。


1本目はヒーローが取り、2本目はヒールが取った。


そして3本目、声を枯らさんばかりに叫び、全力で応援する。


こんなに熱くなったのはいつぶりだろうって位熱い声援を送り続ける。




そして試合はヒール役が制した。


大歓声を挙げて隣の少年とハイタッチ。


ヒール役と同じジャパニーズだと知ってか、周囲もヒール側が勝って喜んでいる俺と少年を見て笑って「良かったな」と言いハイタッチをくれた。




4試合目は今までで一番体が大きく、強そうなヒーローサイドとこれまた今までで一番体が大きく凶悪そうなヒールサイドの試合だった。


本当に北斗の拳とかに出てきそうな体のサイズだ。


観衆の声援も一層多く、大きくなる。




超肉弾戦の末、3本目をヒーローが取り、いよいよファイナルだ。


ファイナルには隣の少年のお気に入りミスティコが出る。


4試合目までどんどん体がでかいヒールレスラーが出てきていたが、ファイナルではそれを上回るサイズのヒールレスラーが登場した。


ロシアのアレキサンダー・カレリンのような体格と風貌。


こんなのが暴れたら会場中破壊されかねない。




ミスティコもさぞ筋骨隆々の強そうなのだろうと想像して入場を待つ。


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