卒業旅行で獰猛なトラがいるマレーシアのジャングルで腹をやられた件について

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難路を7時間以上歩いたタイミングで一人の先輩が休憩したいと言った。




その先輩は軽い脱水症状になっていた。





一人4リットル持ってきていた水ももう少しでなくなりそうな頃合いだった。



恐らくこのときが4人にとって一番精神的にキツかったタイミングだったと思う。



目的にたどり着くことができるかもわからない状態で歩き続けた上に水もない…。



しかし、先輩は冷静に最悪の状況にならないよう考えていた。


水がなくなるのも怖いが一番まずいのは日没になることだった。


そこで先輩Aが一度二手に分かれることを提案した。


先輩W
まだ元気が余っている俺としょ~りんは先に進もう。地図によるとこの先に船着き場があるから人がいれば助かるかもしれない。



確かに船着き場に人がいれば助けを求められるし、水も手に入るかもしれない。



その一縷の望みに賭けて僕と先輩Wで先に進むことにした。



二人の先輩に関しては疲れないようにゆっくり進んでもらい、最悪僕ら二人が船着き場に荷物を置いて助けに戻ることにした。




僕達は地図によると船着き場につくまでには大きな桟橋があることがわかっていたので、そこに向けて険しい道を進み続けた。



ふと後ろを振り返ると先輩はだいぶ後ろの方にいた。




先輩の顔色はどことなく限界のように見えて、その表情が僕をより不安にさせた。




その恐怖から逃れたいがためか、僕は歩くというよりは走っている状態に近かった。




顔の頬に伝っているのは汗なのか涙なのかはわからない。




このときはとにかく無我夢中で足を一歩一歩前へ進めていた事以外はあまり覚えていない。




ほぼ走っているような速さで難路を1時間ほど歩いていると

ついにその桟橋が見えたのだ。






この時見たボロボロの桟橋は僕には輝いて見えた。






もう少しだ!もう少しで助かる!






そして僕と先輩は分かれ道に差し掛かった。

左に進めばブンブンで右に進めば船着き場。




もしも、僕らが船着き場に行っている間に後ろから来る先輩2人がブンブンの方に行ってしまっては困るので先輩が船着き場へ、僕は分かれ道で待機することになった。



先輩が船着き場に向かう後ろ姿を見送って、地面に座ると僕は緊張の糸が切れてその場で眠ってしまった。



上を向いて歩こうよ


覚えているだろうか?





ここは獰猛な野生のトラやゾウがいるだということを。




僕が眠ってしまっているとブンブンの方向から



『パキッ』



と何かがこちらへ近づいてくる物音がした。





まどろみの中、嫌な言葉が頭によぎった。



『獰猛な野生のトラ』



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