占いを実行して、占いの意味を知る 【出会い】

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後編: 占いを実行して、占いの意味を知る 【変化】



占い、と聞くとどんなイメージを抱くだろうか。

怪しい、胡散臭い、高額、何か石を売りつけられる、そう思う人が大半じゃないだろうか。

私もそこまでとはいかないが、占い師によっては当たりはずれもあるだろうな、と思っていた。私が思う占い師は、過去が見え、現在が見え、未来が少し見える、という感じで、今でいうスピリチュアルに近いものだった。それは占い師の力に大きく左右されるもので、占い師自身も自分の体調に左右される、とても不安定なものだと思っていた。

今日は見える、今日は見えない、とか。

だから、当たるも八卦当たらぬも八卦、なのだと。

「信じるか信じないかは、あなた次第です!」という娯楽なのだと。

 

そうではなかった。

まるで勘違いだった。

 

私は大学を卒業後、システムエンジニアとして6年務め、色々考えた上げく、整体師になった。多くの同僚は、そんな畑違いの仕事に何故、と首をかしげたが、私にはとても合っていたと思う。1対1で向き合って相手の不調を改善してあげられることは、仕事として、を通り越して、私にとても得難い出会いや経験を与えてくれた。

整体の道に進んで2年が経ち、もう少し施術の幅を広げようとタイ古式マッサージの学校に通うことにした。そこでは経験者であることを買われ、特急で授業が進み、2か月後には鎌倉の古民家を改装したお店の店長になることになった。

当時私は31歳が終わろうとしていた時で、会社員を辞めて整体師になったため実家に出戻っていたのだが、そろそろ独立した姿を親に見せて安心させてあげたかったのもあり、新しい職場に近い藤沢へと引っ越しを決めた。

忘れもしない2006年4月。

私は実家のある町田市から藤沢市へ移動した。

まさかこれが占いに出会うきっかけになるとは、思いもしなかった。

 

2年ほど勤めた整体院では、副院長という形で、1人でお店を任され、それでもお客さんは多く、お陰様で歩合給料でもこの業界では結構もらえていた方だった。それで自信を付けたのもある。異業種への転職すら、頑張ればなんとかなったのだ。お店が変わっても、それも整体院ではなくタイ古式マッサージのお店になっても、私はそれなりにやっていけるだろうと思っていた。

それが開店休業状態のお店であろうとも。

指定されたお店は鎌倉の長谷駅からほど近く、古民家をうまく活用した趣のある店だった。そしてまた雇われ1人店長だった。

お客さんがまるで入っていないのと、ここで働く人がいなかったため、お店の周りは雑草が茂っていた。せっかくいい場所にあって、雰囲気もいいのに、とてももったいない。

しかし予約はゼロ。ただお店にいるだけではお給料は出ない。

タイ古式マッサージの施術時間は長く、1番短くて60分、長くて3時間だった。

さらにこのお店では「リゾートに行くほどお休みが取れないあなたに、1日で極上の癒しを」と謳って、8時間コース、というメニューもあった。

価格帯は6千円~4万8千円で、決して安くはない。

足を運んで、この料金を払ってもらうためには、と私は必死で考えた。

まず草むしりから取り掛かり、畳を拭き上げ、駐車場の壊れた板の修理を始めた。よくみれば手入れが行き届いていない。古民家だからと言って、鬱蒼としていてはいけないと思う。お店を磨くことから始めた。

また、徒歩圏内から江の島の方までポスティングにも行った。近隣のお店にあいさつに回り、チラシを設置させてもらった。また、鎌倉観光モデルコース、を自分で歩いて作ってみた。鎌倉駅からこのお寺を参拝して、ここでランチをして、疲れたところでタイ古式マッサージ♪、と写真を撮って順序を決めて、お店のHPに記載して欲しいと本部に提案した。予約のない時間帯はとにかく歩いた。歩いて歩いて、32歳になった私のカラダ年齢が20歳という表示になるくらいだった。日に焼けて真っ黒になっても、ひたすら宣伝をしに歩いた。本部が渋谷にあったため、鎌倉でお客さんが付くまでは渋谷勤務もした。渋谷に来たお客さんに鎌倉店の紹介をして、やってきてくれる人もいた。心配して様子を見に、予約を入れてくれる友人の協力もありがたかった。

必死な努力のおかげか、数か月後にはお店の売り上げもゼロから40万円まで伸びた。

指名料なども加わり、私の給料も18万円になった。でもまだこれは手取り額ではなかった。昨年度の収入が良かったため国民健康保険、住民税の負担は大きく、国民年金、所得税、家賃を支払い、来月の収入がまだよめないことから食費を切り詰める生活だ。正直、こんなに苦しい戦いになるとは思わなかった。それでも自分で開業したと思えば、これも修行だと思えば、と自分を励ました。

 

「鎌倉店でダイエット合宿をやるので、そこは予約を入れないで、合宿を担当してください。日当は時給でお支払いします。」

 

本部から連絡が入った。

 

「ダイエット合宿の詳細はこれから検討します。

お客様からは前払いで頂いてしまっているので、もう決行です。」

 

意味が分からない。

どういう営業をしたら、内容の決まっていないものが売れるのか。

ようやく予約がもらえるようになった鎌倉店で、まったく別の内容の商売をするとは。

なんのために頑張ったんだ?

 

ダイエット合宿のために、本部で社員として働いている子が送り込まれてきた。

この子はとてもよく働く子だった。本部に忠実で、かわいそうなくらいだった。私が断れば彼女一人で担当しなければならない。そうすれば寝ることさえしないでやってしまっただろう。私は悩んだ結果、渋々承諾して、磨き上げた鎌倉店を開放した。

 

結果から言うと、ダイエット合宿は大成功だった。

お客さん一人に対して2人がかりで四泊五日、付きっ切りで痩せることをなんでもした。よく働く社員は栄養士の資格も持っていたので、献立から買い物・調理を一人で担い、摂取カロリーをコントロールした。その間私はサウナスーツを着たお客さんと鎌倉散策にでかけ何時間も歩き、戻ってきてすぐに発汗の強いお風呂に入れて、でたらみっちり三時間タイ古式マッサージ、という本当に合宿らしい合宿でお客さんは体脂肪率も落ち、しっかりダイエットできた。

そしてスタッフ二人も、がくりと体重を落とした。

あたしたちがダイエットになっちゃったね、とほほ、と二人で苦笑いしていたが、お客さんはとても喜び、本部もとても喜び、鎌倉店はダイエット合宿の場にしよう、と盛り上がっていた。私の評価もすこぶる高く、よくやった、とお褒めの言葉も頂いた。

 

いえいえ、私はタイ古式マッサージをするためにここで働いているんですが、と詰め寄ると、正社員にしてやる、給料は10万円でいいか?と聞かれた。

 

良いはずがない。

 

おかしい。ひどく頑張っているというのに、思いもよらない方向に話が進んで行く。

なんだこの会社、ちょっとおかしいし。

評価しながら月給10万円って。

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