「誰かの相談に乗ること」から商いが始まる

私は身内の高齢者を介護していた。介護の知識を本やインターネットで得ていくうちに、

「介護とは、なんでもやってあげることではない。本人ができることまで、介護者が横取りしてしまうのは、自立や尊厳の妨げにしかならない。だから、本人がどうしてもできないことを手助けしつつ、本人の自立を促すことが重要」

だという、介護者のあるべきスタンスについて知った。


高齢者が何か行動を起こした時、いきなり手伝うのではなく、

「どうしたいの?」

「自分でどこまでできそうかな? 手助けが必要かな?」

と1つ1つ相談しながら進めていくということが重要な気がした。



そうでなければ、本人は周囲に頼りきになり、「自分は何もできない存在になってしまった」と自信を喪失していく。


私が残念だったのは、そのようなスタンスについて知ったのが、介護の終盤にかかった時期だったこと。もっと早く知っていれば、もっとよいかかわり方ができたのではないか、と思うのだ。


その後、私はライターとして仕事に復帰した。

編集者と相談しながら、「エンドクライアントは何を求めているのか?」を探り、執筆を進めていく。

ここで重要なことは、編集者やエンドクライアントが社内の人だけでプロジェクトを進めるのではなく、わざわざ外部の人間に依頼しているのはなぜか、ということ。社内の人だけでプロジェクトを進めるほうが、コストもかからないし、機密保持の観点からも安心なはず。


それでも外部の人間に依頼するのは、

・対応できるスキルを持っている人が内部にいない

・対応できる時間がある人が内部にいない

・外部により魅力的な人材がいてぜひ依頼したい

など、何らかの事情があるのだ。


「何を求められているか?」「自分にできることは何か?」を相談しながら進めていくことが、仕事の基本だ。


ライターとしての経歴が長くなると、持ち込まれる相談の種類も増えていく。

・ライターになるには、どうすればいいですか?

・1度、2度の依頼はもらえるけれど、長期にリピートしてもらえない

・もっと大きな仕事がしたい

・違う媒体でも書いてみたい

・十分な収入が得られるところまで到達しない


これらの答えに「正解」はない。だから、私が相談を受けてできることは、私が結論を出すのではなく、相談してくれる人が

・何を困っているのか?

・どちらに進みたいのか?

・そのための経路は現実的に考えて何なのか?

を整理することだ。



人の相談に乗るうちに

「こんなに親身になってくれるのだから」

と、私自身の新しい仕事につながったこともあるし、私自身が相談業務を仕事としてスタートした部分もある。


結局、私から何かを買ってお金を払ってくれる人は、「私の商品」を求めているというより、「その人に今ある悩み・困りごとを解決してくれること」を求めているのだ。


初めに商品を用意するのではない。

「目の前のあなたの悩み事を、解決する手段を共に考える。それが商いの始まりにつながることもある」のだ。

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