友達が自殺未遂しました、たかが婚活で。 〜中編〜

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しかも独身の彼女たちは皆、彼氏がいるのだ。


みんなでいても彼氏の話題が頻繁に出る。


「彼氏とハワイ行くの?!いいなあ!」


とか


「今度それぞれ彼氏連れてきて飲もうよ!」


なんて話題まで。


最近は、うち1人が結婚することになり

その話題で持ちきりだ。


結婚の決まった子はまだ24歳だ。


今日も昼休みの化粧直し中

式の準備について話が盛り上がっていた。



奈々子を除くと最年長の28歳は、羨ましそうに24歳を見た。


「いいなあ、肌なんかピチピチでさ、やっぱ花嫁は20代のうちにだよね

私なんか、もうリミット目前だよ」



すると残りの子達は、私の方を見てから気まずそうに目を逸らした。


そう、ここに32歳女子がいることを忘れないでほしい…




…と言っても無駄だよね




必ず33歳の誕生日までには、結婚を決めたいと思っていた。




奈々子は相談所にメールを送った。


無料の個人カウンセリングの予約。


入会時、予約が殺到してなかなかできないと

聞いていた割にはすんなり予約できた。



カウンセリング当日



4ヶ月ぶりにゴージャスなサロンの一角に奈々子はいた。



担当カウンセラーと名乗る中年女性は

実に淡々とした対応で話を進める。

入会時、あれだけ熱弁を繰り広げたド派手女社長は姿を見せなかった。

カウンセラーに尋ねると


「社長は取材のため終日戻られません」


と、やはり抑揚のない淡々とした口調で答えた。



どうすればお見合いできるのか、アドバイスが欲しかったのだが

形式的な言い回しばかりで、期待する答えはもらえなかった。


彼女はこう繰り返した。


「たまたま、あなたが選んだ会員男性に見る目がないだけでしょう。

   そのうち、あなたの良さを見抜く人がきっと現れるはずです。

   なんなら、申し込んでいただいてる方と会ってみたらいかがです?

   お見合いに慣れておくことも大切です。

   会ってみなくてはその人のことは何一つ分かりませんから」


   彼女は虚ろな目のまま

   口元だけうっすらと微笑みを作った。


   奈々子は、そう言われても素直に応じることができないのだった。

   写真などの情報を見た段階で何も感じない人を

   会って好きになれるとは到底思えないのだ。

   しかもお見合い料は5000円と安くはない。


    奈々子は、もう少し諦めず、今まで通り申し込むことにした。


   

    それからまた1ヶ月過ぎたが


    事態は変わらなかった。


    奈々子は不安にかられていた。 


    検索して条件に合う男性はもうほとんど断られた。


   できることはやったつもりだった。


    相談所の有料セミナーに参加したり


    婚活の本を買ったり




    気がつけば寝ても覚めても婚活のことを考えていた。

   電車に乗っていても、男性の薬指にばかり視線が行ってしまう。


   


   一方で仕事では、例の同僚の1人が寿退社した後も

   上層部が人員を増やすことなく、チームは人手不足状態だった。


    派遣社員である奈々子も遅くまで残業させられる。

    そのうち嫌気がさしたのか、また1人辞めていき


     仕事はますます激務になっていくばかりだった。




     そうこうしているうちにあっという間に季節が変わり

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