友達が自殺未遂しました、たかが婚活で。〜後編〜

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年収の条件を広げれば、出会いの幅がぐっと広がったかもしれないのに。


ため息をついて

画面をクリックすると


偶然、別のサイトへ移った。




《心とココロのマッチング》へようこそ!

という文字が飛び込んできた。



結婚で最も大切なことを忘れていませんか?

それは心とココロのつながりです。


結婚において、大切なのは婚姻関係を続けることです。


心の強い絆があればこそ

2人は1つでい続けられるのです。


相手の肩書きや年収、見た目だけで

相手を選ぶ婚活は間違っています。


新しい角度から、新しい視点で

あなたと真につながる相手を見つけましょう。





なんだろ…心のマッチングって。


それが婚活サイトだと分かるまで時間がかかった。


ココロのつながりって結局、どうせ綺麗ごとじゃない。

所詮、みんな、経済力や見た目で人を判断するもの。



そのサイトは、身分を一切明かさず

写真すら載せず

メールでつながりを深め

相手の人間が自分と合うのかどうかを

じっくり心を通いあわせ


互いが会いたいと感じたら

写真やプロフィールを公開し

その上でお見合いするか決めるというものだった。




今までにない全く新しいマッチングサイトだった。




それまでも何度か婚活マッチングサイトに登録したが

写真を載せないと返事も来ない。


とびきり可愛く撮れた写真を載せると返事があったが

文面からは、あまり結婚に真剣だとは感じられなかった。



奈々子は出会い系サイトで婚活など

もう期待などしていなかった。


でも、その今までと違うシステムが気になり登録してみた。



写真も年齢も載せず

ただ、自分の結婚に対する純粋な思い


家庭への憧れを綴った。


書きながら奈々子は

以前のひたむきに結婚への憧れを抱いてた頃の

自分に戻ったような気がしていた。



翌日会社から戻ると返事が来ていた。



年齢も職業も顔も分からないその男性は

奈々子と同じ思いを抱いていた。



男性はこう綴っていた。


僕とちょっと似ているのでメッセージしてます。

ただ、心を分かち合い温かい心休まる

家庭を手に入れたいだけなのに

どうも合う女性がいない。

みんな学歴や年収でばかり自分を判断する。



あなたは、価値観が僕と少し似ていますね。


あなたはどんな場所で何をするのが好きですか?

僕は、古ぼけたカフェで読書するのが好きです。

それから、実家の愛犬とポカポカした田舎道を散歩するのも好きです。


ちょっといいことばかり書いたかな?

実は会社から帰宅してビールを飲みながら

ゲームするのも大好きなんです。


最近歳のせいかあまり夜更かしすると翌日辛いので

気をつけて入るんですがね…





読みながら、奈々子は

いいなあ…と思った。

顔すらわからない男性だが、久しぶりに肩の力を抜いて

彼の静かに話す、自分語りに耳を傾けているような気分だった。


婚活を始めてから

男性は自分を、女としてを良いか悪いか

評価する生き物にしか見えなかったからだ。


いつも男性らから、お前なんかダメ‼︎という烙印を押され続けている気持ちだった。


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