入社2年目の営業が奔走 三つの武器で経営陣に提案
700社への電話 と 300社への訪問
「ビジネス開発グループ」が発足して、1年目の秋頃、私は「店舗matc」という「チェーンストア向け本部-店舗間コミュニケーションツール」というサービスを営業する仕事をしていました。サービス立上げ2ヶ月位は、誰にアポイントをとるか?どうアポイントをとるか?も決まっていないので、全部自分で失敗しながら考えて試みる。その連続でした。合計700社位電話をして、300社ほどアポイントを頂き訪問し続けたと思います。
The Body Shop様との出会い
約100社アポイントを終えた頃、1社、契約の意欲を見せてくれた企業がありました。The Body Shopを全国約170店舗を展開していたイオンフォレス様です。The Body Shopは全国約170店舗、20代中盤~30代中盤の店舗で最も販売力がある方が店長をされていました。約9割が女性の方でした。
店長の仕事と言えば、店舗の売上管理・キャンペーン企画・アルバイトの勤怠管理・店舗の経費管理など、多大なバックエンド業務におわれていのが実情でした。一方、The Body Shop本社(経営)としては、最も販売力のある店長をバックスエンド業務から開放したい。ここに課題が存在していました。
自社のサービスの機能を説明しない営業
私が営業していた「チェーンストア向け本部-店舗間コミュニケーションツール(店舗matic)」というサービスは、本質的には、最も販売力のある店長をバックスエンド業務から開放し、より店頭・お客様と接する時間を増やし、より良いお店を創って行きましょう。ということを提案するサービスでした。
上記の話を、舘林さん(当時:店舗運営部)、新妻さん(当時:IT本部長)へさせて頂いたところ、課題感に共感して頂け商談して頂けることになりました。後日談なのですが、当時の私の状況を新妻さんは、こう語っています。
”初めに大塚さんにあった頃、若さ故の突進感、とって喰われまいとする警戒心がとてもありました。そして、最も他のIT営業と異なった点が、自社のサービスの機能をほとんど説明しないこと。サービスの名前さえ契約する時まで言わなかったと思います。では、何を提案してきたか?というと、チェーンストアやTheBodyShopの現場(店舗)が、具体的に何が課題があるのか?その課題がなぜあるのか?ということを提案してくれました。彼(大塚さん)は、「店舗matic」という「ツールを売る」のではなく、私たちの「課題を解決」する提案をしていたのです。私はこの考えにとても好感を持ちました。”
私がチェーンストア業界を変える
当時の私は、新妻さんがおっしゃって頂いた通りでした。私は自社のサービス名を伝えることさえ忘れていました。具体的な機能も半分も説明していませんでした。私には、これらはさほどでは重要ではありませんでした。では、私が繰返し提案していたのは何かというと、100社アポイントを頂いた見込み顧客様で聞いた課題点と、TheBodyShopの現場(店舗)で店長に直接聞いた生の困っている声でした。私はこのチェーンストア業界全体で共通して起こっている課題を解決したいと思っていました。そんためには、1社でもいいから私を信頼して一緒に解決に取組んで頂ける企業様が欲しかった。その1社がまさに、TheBodyShop様、新妻さん、舘林さんでした。
TheBodyShop様一色の日々
お二人に共感して頂けた後、私の日々は、TheBodyShop様一色に染まっていきます。3つの店舗へ日替わりで訪問し、具体的な業務を隅から隅まで聞き、メールの量・FAXの量が1ヶ月にどれだけくるのかを全て印刷して内容毎に集計・分類しました。商品を知るために自分で商品も買って家のお風呂で使ってみたりもしました。私はThe Body Shop様のお客様になりきりお客様の視点でThe Body shop様に提案したかったのだと思います。この活動を2ヶ月位続けエッセンスを約10枚の提案書へまとめました。そして、経営者向けに1枚のエグゼクティブサマリを作りだし、経営者である岩田さんへ提案して頂けることになりました。
第一歩
最終的なプレゼンテーションでは、新妻様のバックアップのもと店長の生のビデオも添えて、経営陣へ提案して頂けることになりました。二転三転ありましたが、最終的に契約をして頂けました。(ご提案の詳細は、日経コンピューター様より取材依頼を頂きましたのでこちらに掲載されています。http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090127/323536/)当時の私としては、嬉しいというより、「ホッ」とした気持ちの方が強かったです。チェーンストア業界全体で共通して起こっている課題を解決する第一歩をやっと踏み出せた。ネクスウェイで初めての新規事業創出で初めてお客様と契約できた。約100社以上電話をしてやっと結果をだせた。一人で勝手にいろいろな物を背負っていたのかもしれません。(誰から期待されたわけでもないのに。)
感謝。そう感謝なんだ。
TheBodyShop様の契約で自信を得た私は、その後、立て続けに6社契約し、その時の全社VPを受賞します。受賞式で社員全員の前でスピーチをする際、私は感極まり涙を流してしまいました。心のどこかで「店舗matic」というサービスが本当に求められているのか自分自身でも半信半疑、不安な気持ちを持ちながら、自分自身を言い聞かせて、自分を信じて、さらには、お客様にも言い聞かせて暗闇を進んで来た気持ちがあったのです。こうして結果を得れたことで、自分を信じたことが報われ、また、根拠も明確でない私を信頼して契約して頂けたお客様、さらには、当時は8名までに増えていた「ビジネス開発グループ」のみんなに感謝の気持ちが一気に溢れてきました。
私が見た事も無い世界へ
結果や実績の無い時代、自分や仲間を信じて進むことは、当事者になると想像以上に苦しいです。しかし、その苦しみを乗り越えた先には、私が見た事も無い世界(信頼・責任・尊敬)があり、このことを学べた事は、私のビジネス人生にとってこの上ない資産となっています。
当時の関係者のみなさまへ
約5年前ですね。当時、私はこんな思いで「店舗matic」に関わり、想いを持って取組んでいました。そして、今、STORYS.JPにも同じ想いを持って取り組んでいます。
STORYS.JPは、名刺にのらない過去のプロジェクトや、深い物語を蓄積/共有し、ゆくゆくは、異なる経験をしてきた人を、志や想いを軸に繋げたいと思っています。
志や想いがつながれば 社会的な問題を解決できる革新的なアイデアを紡ぎだせると私は信じています。
もし可能でしたら、「店舗maitc」の当時の想いを、私の視点ではなく、皆さんの視点でもストーリーとして書いてもらえると嬉しいです。当時、皆さんがどんな思いだったのか聞いてみたいです。長文になりましたが読んで頂きありがとうございました。
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