本質を知っているものが勝つ

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8歳になる弟の光太郞には5つ離れた兄がいた。光太郞と兄の拓海はゲームが好きでよく二人でゲームをしていた。

兄の拓海はときどき隠れるように何かを読んでいたが、光太郞には関係のないものだから気にするなと追い払われていた。

光太郎も特に気にしたことはなかった。それよりも光太郎の一番の悩みはゲームで兄にいつも負かされることだった。


拓海はゲームが上手くていつも光太郎をコテンパンにしていた。一方の光太郎は負けず嫌いで負けては何度も勝負を挑んでいた。泣きながら挑んでいたこともあった。理由が分からないが、どうしても兄との勝負に勝ちたかった。負けることが嫌なのだ。


しかし、勝てることはなく泣かされるのが常であった。そして、兄にゲームの賭けでいつもおやつをごっそりと取られていた。


いつかはとりかえしてやる。光太郎は闘志を燃やし、兄がいないときにもゲームをしていた。だが、それでも一向に勝てることはなかった。光太郎の胸に悔しさがこみ上げてくる。悔しい。どうして勝てないんだ。兄のヘラヘラとバカにした表情が目に入る。

「悔しかったら、俺に勝ってみるんだな〜!」ただでさえ、悔しいのに、バカにされたことで余計に悔しい気持ちが込み上げてくる。


光太郎はいまにも兄に飛びかかりそうな表情を浮かべていたが、ぐっと堪えた。

だが、光太郞にはどうしたら勝てるようになるのかわからなかった。



次第に兄弟は喧嘩をし始めるようになった。

そして、喧嘩は日に日に大きくなっていった。


「いい加減にしなさい!喧嘩をするならやらなければいいじゃないの!」

母が怒るもこれは男の戦いなんだと光太郎は聞く耳を持たない。困り果てた母はそのことを父に相談した。


すると、父が兄弟の部屋にやってきた。怒るのかと思いきや、父はいつものようにゲームをしてていいよと兄弟に言った。ゲームを開始すると案の定、圧倒的大差をつけ兄は弟を打ち負かし続けていた。


父はしばらくその光景を観察していた。操作する手元と画面を何度か確認すると父は辺りを見回し始めた。ふと本棚を見ると本棚の上の方にある本を発見した。それは弟の背丈からは確認することができない高さであった。


「ふふーん、なるほど。」

父親はこのカラクリの正体を知った。


「お兄ちゃん、フェアじゃないなぁ。」

父親が言った。光太郎には何のことかわからなかった。


そして、本棚に近寄り例の本に手をかけた。「ちょっと待って!お父さんそれはダメ!」慌てて長男は父親に言ったがときすでに遅し。父親はこのゲームの攻略本を手にしていた。そこには必殺技のコマンドがびっしりと載っていた。


「なにこれ?僕こんなコマンドがあるなんて今までずっと知らなかったよ!お兄ちゃんズルい。」

「ふん、知らないお前が悪いんだよ。」

拓海は悪びれる様子もなく言った。


「次からは光太郎にも見せてあげるように。」

「ちぇっ、仕方ないな〜まっ、こんなの読んだところで僕には勝てないけどね。ほらよ。」


(今までこんなものを読んでいたなんて!)

光太郎の心に悔しさと怒りがこみ上げてきた。

光太郎は今までの負けを取り返そうと必死になってコマンドを覚えた。

みんなの読んで良かった!