もう出会い系でしか女を漁れない件

ずっと続けている趣味がある.それは出会い系サイトを通した女性との出会い.兵庫で育ち,大学から大阪に来ることになった僕だが,大阪を僕は観光の場所ではなく,女釣りに最適な場所だと大学入学当初から考えていた.

大学ともなれば,高校時代の厳しい制約から逃れた同世代の人間は,コンパ・合コンなどを繰り返し,次々に女の子をお持ち返しをしていった.僕にもいくつかのおこぼれをもらい,夜の情事を経験した.

普通このような経験をすれば,満足して充実感に満たされるのが大半の大学生だと思う.でも,僕はなぜか満足することができなかった.もちろん,自分から声をかけて落とした女の子もいたし,彼女といえる存在もいた.でも,なぜか心の中は虚無感で一杯だった.

僕は別にそれまでの人生でも特にモテているわけでもなかった.大人の階段をのぼったのも,大学生になってからだ.理想は特に高くもないし,周りかももっと欲を出したらと言われていた.

それだけに,自分が何故,現状に満足していないのかということに理解さえできず1人悩んでいた.

そんなある日,サークルの飲み会で,普段はあまり話さないN君と二人で話す機会があった.N君は僕に質問をする.

「彼女何人いるん?」

ん?とその時僕は,思った.僕が聞き間違えたと思い,もう一度聞いてみたがやはり投げかけれる質問は同じだった.

「何人ってどういう意味?」

僕は聞き返した.すると,さも当たり前のようにN君は話す.

「何人って,そのままの意味やんか.普通,一人じゃ飽きるから何人も作るやろう」

僕は,フリーズしたPCみたいに数秒間停止した.と同時に言葉の意味が分からなかった.

何人も同時?コイツは何を言っているのだ.全く理解できなかった.

「でも,見つかったらどうするの?キャンパスじゃ鉢合わせしやすいし」

すると,N君は答える.
「いやいやー,同じ大学で出会うわけないやろー」

「じゃ,どこで?」

「そりゃもう出会い系サイトよ.今日もこの後,予定があってな」

「出会い系サイト?本当にまだそんなもん使ってるのか.あまりいい評判聞かないけど」

「まぁ,そりゃライバルが減った方がうれしいから,嘘の情報をばら撒いてるのさ.まぁ俺は自分の道を進むだけだ.じゃ少し早いけど帰るわ」


その飲み会から半年間,僕はN君との話はまるでメモリーから消えたように毎日を過ごしていた.彼女とは,半年間喧嘩もしたが,別れ話には発展しなかった.でも,少しマンネリ感というか停滞感というものが出てきていた.あまり考えようとはしなかったが,間違いなく心の中を蝕んでいった.

そんな気持ちに嘘をつけなくなってしまった大学二年の春.とうとう僕は彼女に別れ話を切り出した.

彼女も何かを悟ったように快諾し,彼女は目の前から姿を消した.

そのあとは,友達から誘われても飲み会などは参加せず,サークルにも顔を出さず孤独な生活を続けていた.極端に周りから人が少なくなることはなかったが,少しずつ周りから人がいなくなった,


僕はそれでも寂しくなかった.それよりも何か大事な気持ちを忘れている気がした.

そこでN君の言葉を思い出した.出会い系サイトという言葉が脳裏をよぎった.僕はとりあえず,出会い系サイトという言葉を入力する.とりえあず,検索上位三つのサイトを閲覧する.どれも「出会える」とか「ヤレル」みたいな単語が並んでいる.その言葉に惹きつけられることはなかったが,アプリをインストールし,アカウントを作成してみる.作成したものの使い方などは全く分からないので,放置していた.

後日,アプリに通知が来た.
「あなたのプロフィール気に入りました.よかったら会いませんか?」

僕はそのメッセージを見たとき,嫌がらせの一種だと思った.よくこういうのでお金を詐欺られてるのもニュースで見る.

「どなたでしょうか?」

無視をするつもりだったが,反応するか興味があったので返信してみる.

「私は,詩織といいます.今は大阪に住んでます」

出会い系には珍しく丁寧な返事が返ってきた.僕はその丁寧な返事に業者やスクリプトではなく,もしかしたら人間が書いているのでは?と思った.僕は,簡単な自己紹介をする.

「僕は,カズマといいます.同じく大阪に住んでる大学生ですよ」

「そうなんですか.大学何年生ですか?」

「二年生だよ」

「私も二年生です.なんか住んでるところも同じで,大学も同じ学年とか少し運命感じちゃいますねー」

詩織のそのメッセージを見たとき,僕は少し微笑んでしまった.そして本物の人間と会話しているような気持ちにさせられた.

「そうだよね.なんか嬉しくなったよ.会いたいな」

そうメッセージに書いた.今思えばここが分岐点だったような気もする.

「会いましょうよ.土曜日の午後1時に,大阪駅とかどうですか?」

「いいよ」

「その時顔分からないと思うんで,写メつけますね」

彼女から添付されてきた写真を見る.第一印象ははっきり言って可愛かった.今まで見てきた女の子の中でもトップ3には入るのではないかというくらいに可愛かった.その可愛さにつられてしまって

「おーけ,じゃ土曜日よろしくね」

と返信した.


土曜日,普段はつけないワックスに悪戦苦闘しながらも,予定集合時間の三十分早く着いた.

アプリに通知がきた.

「カズマさん,どこにいますか?」

「北口にいるよ.あーあ,分かったよ.手あげてるから」

「はい,私もわかりました」

そして,一刻ほどすぎて

「始めまして,詩織です」

「初めまして,カズマです」

簡単な自己紹介を終わらせ,昼食をとるために適当にぶらつき,オシャレなレストランを見つけたので中に入った.

「詩織ちゃんは,なんで俺に声をかけてくれたの?」

初めに切り出してみる.

「うーん,そうですね.やっぱりプロフィールを見て,自己アピールのところに凄くいい人だなーと思うところがあって送ってみました」

「そうなんだー」

そう返しつつも,やはり僕は少し疑っていた.こんなかわいい子が僕の目の前にいる.正直このあとどこかに連れ去られると思った.

そのあと,小一時間ほど店で雑談をした.内容はお互いの大学生活,休日の過ごし方,恋愛経験などごく普通の男女間での会話だった.その会話の中で,詩織はあまり友達がいないこと,休日は学費のためにバイトをしていることが多いこと,趣味は読書ということが分かり,詩織ということがどんな子か少しは分かった.

店をでた後,僕は尋ねる.

「どこいく?」

詩織は少し恥ずかしそうに顔を下に向けて言った.

「ホテルに行きませんか?」

その時,詩織は人差し指と親指で,控えめに僕の服の袖を持っていた.その後,僕たちはホテルに行った.その後のことは,あまり記憶にない.快楽におぼれた.人生の中でも一番何かに解き放たれた瞬間だった.


その後も,詩織とは連絡を取り続けている.そして,何回も会っては,快楽にふける.

僕のスマホに通知が来る

「サオリといいます.会いませんか?」
N君が言った意味がようやく分かった気がした.


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