【第10話】認められた記憶などほとんどない僕がSTORYS殿堂入りの知らせを受けた日・・・ふと思い出した、忘れられぬ友人と交わしたある「約束」

1 / 5 ページ

前編: 【第9話】認められた記憶などほとんどない僕がSTORYS殿堂入りの知らせを受けた日・・・ふと思い出した、忘れられぬ友人と交わしたある「約束」
後編: 【第11話】認められた記憶などほとんどない僕がSTORYS殿堂入りの知らせを受けた日・・・ふと思い出した、忘れられぬ友人と交わしたある「約束」

学習机の上に置かれたラジカセからは、ハスキーボイスのDJがリスナーのハガキを読んでいて、少しだけ開けられた窓から夏の夜風が入り込み、緑色のカーテンの端だけをもてあそぶように動かしている。

それは、吐いては吸うを繰り返す呼吸のように、ゆっくり一定のリズムで揺れていた。

富岡ちゃんはこたつテーブルの上に置いてあるタバコを左手で取ると、一本抜き取り火をつけた。

大きく吸い込んで吐き出したたばこの煙も、部屋に入り込む夏の夜風に乗って、ほんの少しだけ揺れた。

「親がつけたから仕方ないけどね。男は太郎・・・的な?」

「男は、太郎・・・的な・・・」

「ちなみに、1つ下の妹は・・・はなこだけど」

僕は頭の中で「太郎とはなこ・・・」と考えたら急におかしくなって、声に出して「太郎とはなこって」とつっこみを入れながら、笑った。

それは、毎度毎度聞かれているであろう「太郎」という名の来歴を説明するときの、お約束且つ鉄板の一発ギャグだと思ったからだった。

「いやいや、昔話じゃないんだから。太郎とはなこは最高だね、いやぁ、ウケたわ」

富岡ちゃんは、何も言わなかった。

むしろ、笑った僕に対して申し訳ないような表情で頭を搔いている。

「マジなんだよね、これ」

言いずらいことを、気を許した友達にだから、あえて、ここにきて、思い切って言ってみた。

みんなの読んで良かった!