【第12話】認められた記憶などほとんどない僕がSTORYS殿堂入りの知らせを受けた日・・・ふと思い出した、忘れられぬ友人と交わしたある「約束」

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前編: 【第11話】認められた記憶などほとんどない僕がSTORYS殿堂入りの知らせを受けた日・・・ふと思い出した、忘れられぬ友人と交わしたある「約束」
後編: 【第13話】認められた記憶などほとんどない僕がSTORYS殿堂入りの知らせを受けた日・・・ふと思い出した、忘れられぬ友人と交わしたある「約束」

恐らく、僕のした何かに対して癇に障ったのだろうけれども、よくわからないままに僕は一人とぼとぼと下宿に向かって歩き出した。


辺りはすっかり暗くなってしまっていて、楽しかった今日1日がまるではるか昔の出来事だったように、一人で歩く下宿までの道のりは、寂しいとか悲しいとかいう感情とはまた違う、変な違和感に包まれていた。




それは、いつも変わらず、疑うことなく一緒にいた人がいなくなってしまった喪失感のようなもので、18歳の僕にはその感情の正体が理解できずにいた。






当時の僕にはこのけんかの原因はいまいちつかめなかったけど、僕がした何らかの行動で怒らせてしまったのだとしたら。






それによって大切な友達を失ってしまうかもしれないという現実を思い描いてみたら、居てもたってもいられぬほどに、背筋に冷たいものが垂れてきたときのような感覚になって、体から体温を奪っていくのだった。




自分の周りから大切な人がいなくなってしまうという重大さを、感じたことは無かった。




僕にとっては、父親がとんでもないアル中で、日々母親がその父を罵倒するといった家庭内でのいざこざは多少あったものの、そんなものは小さいときからの日常に過ぎず、いつしかそれは普通の感覚になっていたし、それ以外で言えば、自分が気が付かなかっただけかもしれないが、特に学生時代も重大な何かがあったわけではない。




もちろん、彼女に振られた程度の別れは経験していたけど、それが自分自身にとって脅威に感じたとこはない。


比較的人よりも恵まれた環境で育ってきたのか、僕が鈍感なのかは微妙なところだけれど、それは恐らく、生まれて初めて味わう喪失感だった。








うなだれて歩く視線の先には、見慣れた富岡ちゃん愛用の腕時計。


ダイバーズウォッチのような形状の、お気に入りの腕時計。

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