僕が精神科に入院するまでのほんとうのこと~入院顛末記~(13)

布団の中で色とりどりの光に包まれたとき
何者かが即身成仏したなと言った
しばらくしてから工事の音が聞こえてきた
工事の音は妄想をかきおこし
おいらの部屋の扉をコンクリートで
閉ざしていっていると感じた
だんだんと暗くなる部屋で
私たちは取り残されたと思った
部屋は閉ざされた
おいらはだんだんとわき腹が痛くなってきた
この痛みはなんだろうと思っていると
それは悼みによる痛みだと何者かがいった
おいらは痛みに耐えていた
しばらくしておいらは何者かに
ハッキングされたかのように
意思とは関係なく体が動き始めた
そしてそれに抵抗することもなく
動くように動いた
ココで抵抗すればどうなるのだろう
一瞬頭によぎったが
それをするのも疲れていたのか
何者かの操るがままに動いていた
わき腹は痛かった
動かされるままだった
おいらは痛みにもだえながらも
動かされるままに動いた
このときおいらはおそらく無我になっていた
悟りの境地は何とか避けようとしていた
機械の音がいった
悟ったような悟らんような
そうこの中途半端な状態になればいいのか
機械の音はなおも言う
売り言葉に買い言葉の意味を知れ
なにを言っているのだろう
おいらは操られながら夜をすごした
柱や箪笥に頭をぶつけていた
自分の行動を他から制御されている状態から
開放されるまでかなり時間がかかった
そこに何者かがいてそうなったのかはわからない
それからわけのわからない妄想なのか
夢なのかが現れた
セミはその生涯を繰り返す
その生涯を何度も繰り返し
即身成仏したとき
次の生涯のときにパケラッタできる
セミはパケラッタしてなにになるのだろう
人間は悟り即身成仏し無我の境地に至る
そのとき人間は次の生涯で何かになるのだろうか
生と死は隔てられたものではない
この生の側面から見ると死の側面は見えない
ただそれだけのことだ
死の側面を迎えたとき
魂はパケラッタするか
同じ魂を引き継ぎ
新たに生まれ変わるかするのだろう
魂自体は消えることなく
引き継がれて存在する
死は肉体の滅びにすぎず
魂は滅びたり生まれたりしない
存在としての魂は増えたり減ったりしない
きれいも汚いもない
この体が滅するだけで存在は
パケラッタしたりして継承される
おいらにだんだんと欲がなくなってくる
疲れきってなのだろうか
なんとなく欲がなくなってくる
穏やかな時間がすぎようとしていた
おいらはわけのわからない状況から逃れたくなった
欲がなくなるなんていけない
悟りや即身成仏や無我なんて状況にいるなら
それはいらない
生きている人間の魂でありたい
何か違うと思った
部屋がまぶしかった
おいらは真っ暗なユニットバスにもぐりこんだ
ユニットバスの中は扉を閉めると真っ暗なのだ
真っ暗なユニットバスに入ると
しばらくして幻覚のなのかなんなのか
ユニットバスが箱になる感じがした
出口がなくて
自分のからだのサイズの箱になっているのである
彼女が近くを通った
水を入れられると思った
窒息死はいやだと思った
しばらくして
空間が広がった
真っ暗なはずのユニットバスが
少し明るくなってるように思った
ユニットバスの便器が見えた
元に戻ってきたのだろうか
おいらはユニットバスから外に出て
彼女にこういった
土に戻るか
彼女は覚悟してうなずいた
おいらは今すぐにじゃないよといった
おいらの頭の中で
おいらの生涯を何人もの人間がやっていると思った
そしておいらが何人目かで
何人もの自分がどこかでだめになる
おいらはこの存在をなぞっているだけなのだろうか
おいらは前の入院のとき
時間をいうなという幻聴の言葉を思い出し
自分の生年月日を叫んでみた
何も起こらないことはわかっていた
ユニットバスにもぐって暗闇に潜んだのが
まるで神話のようだと思った
しかしこうも思った
もうひとつの別の次元の存在が
それをしたのだろう
そしてその次元も問題を抱えており
同じようにしたのだろう
その次元は問題を解決したのだろうか
次の自分はユニットバスからやり直すだろう
そいつがどうするかはわからない
何人目の自分が採用されて反映されるか
それもわからないが
それぞれの存在はそれぞれに続くのだろう
それはパラレルワールドだ
別の次元の存在はどうなったのだろう
おいらは彼女の横に寝そべった
彼女が一音ずつ私に話しかける
一音に対して一音返す
そしてそれはソワカの遊びを思い出す
ソワカをしてはいけない
意味のないものにしないといけない
おいらは意図的に的外れな一音を出した
彼女の顔がいろいろな色に光ってるように見えた
私にもできるんやで
幻聴がそういった
この部屋でおいらは鍛えられているのか
おいらはこの世界は違うと思った
彼女は台所に行ったあと
ソワカのようなことをして眠りについた
ただそれだけだった
おいらはユニットバスにこもり
出てきてソワカのようなことに付き合い
そして妄想を起こしながら
彼女の横に寝そべっていた
おいらは完全に狂っていたから
この間何日がすぎたのかもわからない
薬をカレンダーに入れていたから
二日分の薬を飲んでいないのが
あとからわかるだけなのだ
途中までは確実に薬を飲んでいた
おかしな状態になりながらもだ
おいらはこの部屋で鍛えられる
ただ部屋に篭り
人間の境地を
悟りから即身成仏そして無我にいたるまで
おいらはただ鍛えられる
部屋から出るときは食事の買い物のときだけ
虎の穴のように鍛えられるのか
欲がなくなっていく
疲れきってなのだろうか
彼女が横で横になっている
おいらはこの世界は違うと感じた
いや違うのはおいらの妄想だろう
しかし耐えられない何かがある
おいらはいったん実家に帰ろうとした
家を出て自転車に乗ろうとしたが
自転車はないだろうと勝手に決めた
とりあえずきるものを着て
自宅を出た
そして地下鉄の駅に向かい
切符を買って電車に乗った
実家に向かうはずだった
地下鉄に乗り
掲示板を見ていた
電光掲示板になぜか
going my way と見えた
えっ?と思った
この電車は違う
何かが違う世界に入っていると思った
おいらは次の駅ですぐに降りた
隣の駅で降りて外に出ようとした
隣の駅は知っている
知っているけど何か違う
おいらは駅を出て地上に上がった
道を歩いていた
ホームレスがゴミ箱をあさって何かしている
ホームレスも働いているんだよ
何者かの声がいった
おいらは歩いていたが
わき腹がいように痛くなってきた
わき腹の痛さが半端なくなって
おいらはついに道端に倒れた
痛すぎるのだ
倒れてわき腹を押さえていると
誰かが救急車を呼びましょうかといってきた
お願いした
救急車はしばらくして到着して
おいらを救急車の中にいれ
暑いなぁと救急隊員は言ったまま
なかなか動こうとしない
幻聴が聞こえる
こいつはこんなに強くなるまで回しているのに
こいつの両親はまだ気がつけへんのかなぁ
ひとかどの人間にするとかいうてたけど
こいつは舞台を用意されてないだけで
思いっきり回したから
半端なく強くなってるんやけどなぁ
救急車が動き始めた
隊員が知り合いのように感じられた
救急車は右へ右へと右折を繰り返した
おいらは途中で意識を失った
意識が戻ったとき
救急車は建物の前で
警察とトレーナーのような人がいた
病院ではないのか?
なんで救急隊員がいないんだ
何の暴力だ?
おいらは混乱した
トレーナー風の男が手を伸ばしたので
その手をねじった
トレーナー風の男はわめきだした
それを見た警察が
おおげさやねんみたいに
トレーナー風の男を見て
いらだったように
ホルスターに手が触れた
おいらはビビッた
ホルスターに手が触れたからだ
警察にアカンでといった
やめてくれアカンで
その言葉を繰り返していた
警察は何もしないというそぶりを見せた
アカンでといって
私は警察の防弾チョッキを殴った
わかるでしょう?
そういった
しばらくして看護婦が着て何かを注射したようだった
おいらは意識を失った
救急車は警察署に向かった
そしておいらは留置書に担がれた
おいらはトレーナー風の男に引っかかれ
留置所に入る前には
小指の根元を切られていた
ベルトははずされて
毛布を用意された
しばらく正座をしていたが
意識が遠のいていく
しかしこの眠りで死んでしまうのではと
なんとなく感じた
眠りをどうにかしようとした
警察と役所の人が来た
尋問が始まった
今日、何曜日、いつ?
この質問に「てにをは」を
ばらばらにして何度も質問された
そして今度は
いつ、薬を飲んだか
この質問をばらばらに混ぜながら
質問を繰り返した
おいらはいい加減にしてくれといった
警察は何度も質問をしてから
やっと去った
部屋に誰も来なくなった
ブブブブブブという小さな音が鳴っていた
彼女は私の捜索願を出したらしく
おいらはそれを知らずに彼女が警察署に来てると感じて
私はココにいるよと
扉が半分開いたときに言った
警察は彼女に電話で警察署にいることを伝えたようだ
しばらくして
おいらは眠りそうになり
死んでしまうかもしれないと感じて
眠らないように動き回った
誰かがおいらを探している映像が頭によぎった
親父がおいらを狙撃しようとしている映像が浮かんだ
殺されてもかまわないと思った
おいらは何度か人生をやり直している
何人目の自分なのだろう
眠い
頭を鉄格子にぶつけた
この調子の自分が一番ましで
この先何人目の自分か知らんが
駄目な自分になっていくんだ
鉄格子に頭をぶつけた
すると両親が来ていた
両親が警察まで来て
そして警察と両親とで
病院へと向かった
おいらの頭の中で浮かんだ映像は
リアルに彼女のことも
両親のことも察知していたのだ
警察の車に載り病院に向かった
診察まで待たされて
診察をした
おいらは医者に実験台にするのは
やめてくれといった
医者は戸惑っていた
警察も診察の様子を見ていた
診察が終わり
警察と別れ
実家に向かった
これで入院できると思った
彼女のことが心配になった
突然家を出て警察にいて
そのまま何も告げずに実家にいるなんて
それは彼女を心配させると思った
実家について彼女に電話をした
警察も彼女に連絡を入れていたらしいが
電話を自分からもした
実家に帰り入院の準備を両親がしようとしていた
おいらは自宅に行って衣服を用意すればいいと思った
入院は実家に帰った翌日だった
彼女のことが心配だった
家賃のこと、生活のこと、入院のこと
いろいろと話をしないといけない
幸いにも彼女がいたからおいらは助かったのだ
彼女は仏さんか神さんに思えてきた
翌日の入院を控えて風呂でシャワーを浴びた
風呂の水周りの配管が壊れていた
おいらはそれが異様に気になった
風呂の床を掃除し始めた
実家の風呂を一通り掃除して
配管を早く直してほしいと母にお願いした
おいらに幸運の矢が降ってきたと思った
それを父に向けて発射しようとしたが父はよけた
自宅にいるときにも同じような現象があり
幸運の矢を彼女に発射した
おいらのまわりで何年かに一度の幸福がおきる
おいらは最後でいいと思った
なぜなのだろう?
いつも自分を後回しにしてしまうのだ
幸運に真っ先に飛びつかないのだ
それでいながら幸運を望むのだ
おいらは翌日入院した
診察のときにわけのわからない話は終了したといった
妄想や幻覚で見る世界の話が終了したのだ
そして隔離室にどの道入れるならば
最初から入れてくれとお願いした
わけがわからなくされてから
隔離室に入れられるのはごめんだった
この物語の最初の病院に再度入院したのだが
ここはなんだか異様な感じがしていたのだ
入院の細かな話はやめておこう
入院するまでの顛末をこの物語では書いている
そして入院中は彼女が何度も見舞いに来てくれ
そして誕生日を病室で祝った
彼女は絵と文章とケーキをもってきてくれた
彼女のおかげでおいらは死ななかったのだろうと
今はなんとなく感じている
そして彼女はおいらの妻になった
今でもこの3度の入院はなんだろうと整理して記録する
物語が妻のいるほうに向かっているのだろうと
そしていろいろの何かに導かれていく
宝くじが当たると毎回幻聴におちょくられるのだが
毎回小さな当たりがありそれを借金の返済に充てている
入院のたびに小額が当たっているのだった
光が現れるということがたびたびあるのだけど
自分の目でも実際にみたし
鏡の世界の話はよくわからないが昔話でみたような
そんな何かがあるのだろう
パケラッタの妄想と悟りや即身成仏や無我の世界は
おいらは拒否したからどんなものだかわからない
一度は悟ったんだけど死神にとりつかれたからね
何度もやり直すリピートや無限のときを感じたやつは
あれはあれで何なんだろう
パラレルワールドの話も
いまの自分の存在から離れられないのさ
宇宙については幻覚や妄想の末にいろいろ学んだけど
それがどうのというわけではない
宗教に関してはお経は読めるがどこぞの信仰はない
わけのわからない世界を旅して
ついぞ傍らにいたのは妻だったということなのだろう
わけのわからない世界にいたのに
びびる事も偏見で見ることもなく傍らにいてくれた
覚悟を決めておいらの横でいてくれたのだろう
せめてこんな妻に幸運が届くといいのだけど
一番最後にあとまわしでいいことなんてないのだ
おいらは私たちにもし子供ができたら
その子供の名前を決めている
未来だ
わけのわからない世界はもはや終わったのだろう
入院顛末記はココで終了します

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