結婚 第四回

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 深くため息をついた。

静岡から小田原へと戻る電車の中で、窓の外を眺めながらBOSSの缶コーヒーに描かれた

髭を生やした紳士の顔を見つめていた。

 この男からにじみ出る風格、貫禄、自信に満ちた表情すべてがうらやましく思えた。

自分には今そんな余裕はない。


 小田原駅の新幹線改札口を重い足取りで通り抜ける。そのまま東海道に乗車して帰宅した頃には

午後7時を過ぎていた。

 「ご飯は?」

 「いらない」

社会人になってしばらくすると親の有難みを理解して積極的に会話をするようになる息子と

そうもなり切れずに学生時代とそんなにかわらない会話の数しか話さない息子が存在する。

僕は後者の方だった。

 部屋に入り布団に潜り、静岡でのことを振り返った。

後味が悪すぎる。あまりにストレスを抱え込んでしまったために僕は仮病を使って家に

帰らせてもらったのだった。

 居ても立っても居られなくなり、体を起こし、携帯電話を手に取って彼女にダイアルした。

「・・・・もしもし」

「あ、あーちゃん?」

彼女の名前は明日香。皆からはあーちゃんというあだ名で呼ばれているので僕もそうしている。

「どした?」

「オレ、帰ってきました!!」

この一言を発した瞬間から全てが解放され、元気を取り戻したようだった。

「え!?」

それから2時間近く仕事の愚痴、これからのことをなど他愛もない話を楽しんだ僕たちだった。




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結婚 第五回

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