双子の呪い 〜世の中サクセスストーリーだけだと思うなよ〜
呪いという言葉はちょっと仰々しくて酔った言い回しな気がする。私について回るお手軽なプロフィールだから、そもそも私は双子である事に嫌気をさした事がない。案外楽しいものだ。それでも呪いと呼びたい。
大好きな祖父が私と梓を間違えるようになった。
梓が双子のもう片方で、ちょっと面倒くさくてしょっちゅう「和はリスペクトの気持ちが足りない!」とぷうぷう文句を言う。今は私と対の明るい髪色にして、だけどやっぱり私の真似をしてパーマにした。
祖父は料理が上手で、昔は家で洋食屋さんをやっていた。この間作ってもらった炒飯は神かけて美味しかった。天ぷらとか、揚げ物が得意で、何でもふわふわに揚げてくれる。「遊びに行くね」と電話すると必ずアイスとジュースが用意されていて、足がいい頃は近所のサティで一緒にクレーンゲームをやった。今はイオンになっている。だからきっと祖父が私を忘れてしまうのも仕方ないのだと思う。
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