おばあちゃんのドライバーは早稲田卒

さて、数日間のホテル暮らしの間に、住む場所を決定しなければならない。事情が良く分からないので、とりあえず、前任者の家を引き継ぐことにした(これが失敗であったことは後で気づくのであるが)。場所は、シテイから車でハーバー・ブリッジを渡り、15分位走ったところにあるニュートラル・ベイの閑静な住宅地。タウンハウスと呼ばれる形式の建物。1階が駐車場、2階がリビングとダイニング、3階に3部屋とトイレとベランダがついており、お隣さんも全く同じ間取りで、2軒で1つの建物を構成している(ちなみにお隣さんはオーストラリア海軍にお勤めだった)。 
さて、引渡しの日、私と前任者とシドニー北部ノースナラビーンの不動産屋の3者でインベントリー・チェックを行った。インベントリー・チェックとは家を借りるときに、不動産屋を交えて、家の内部の破損、毀損状況を事前にチェックするシステムで、後々「こんなはずじゃなかった」などとトラブルが発生することを回避するためのものである。 
 だが、オーストラリアにきてまだ日が浅く、現地事情にほとんど無知な者にとっては、不動産屋の言い分に押されるケースが多いのではないだろうか。 
  失敗だったと前述した訳は、一つには前任者の引継ぎ状況が悪かった(一言で言うと荒れ放題)ためだが、もう一つの理由は、この家、とにかくゴキブリが多く現れたのである。オーストラリアのゴキブリは日本のものより、大柄で、いかにも昆虫といった風情である。しかし、動きはゆっくりしている。これが、天井や床、台所、スリッパの中、ベランダなど家のありとあらゆる場所から現れたのである。これにはまいった。ゴキブリ・ノイローゼになりかかり、職場の同僚の知人宅に1週間くらい一時緊急避難したほどであった。現地の不動産屋に聞けば、ゴキブリはシドニー市内、どこでも出るとのことだったが、2度目、3度目に住んだ家からは全く出なかったので、家の使用状況が荒れていたこの家だけ特別だったと今は思う。だが、1年契約をしてしまったので、後の祭りである。とにかく1年はがまんすることにした。 

みんなの読んで良かった!