癌で胃袋を失い生きる希望を失いかけた男が、一夜にして元気を取り戻した物語
がんセンターの待合室にいた。
30人程が、列をなしている。
みんな元気がなさそうだ。
笑顔がない。
(それもそうだな、
がんセンターにいるのは、みんな癌患者なんだよな・・・)
「出雲さん~、①番へどうぞ」
内科医が待っていた。
まだ30をわずかに超えたくらいだ。
うっすらと顔に脂汗が浮いていた。
ひどく疲れているようだった。
(相当激務なんだろうか・・・)
1週間前に撮った内視鏡の写真が、大きく映しだされていた。
「悪性です、胃の中央部 大きさ は、3.2cmです。」
「ステージ1B」
「筋肉層にも入っている可能性があります。」
「悪性なので、出来る限り早く手術するのがいいですね。」
「先生、切りたくないんですけど・・・」
「切らずに治そうと思っています。」
「悪性癌は、放っておくと拡がるだけです。
自然に消える事は、100%あり得ません。」
一方的だった。
面倒くさそうに私を見ていた。
典型的な医師だと感じた。
自分の信じていること以外、情報を遮断している。
この日まで、暇さえあればネットで検索していた。
『癌、自然治療』、『癌、切らずに治す』、『癌、末期 生還』、『癌、食事療法』
怪しいものから、信頼できそうなものまで、
山程出てくる。
本もいろいろ買った。
もはや情報は、得るのもではなく、
選ぶものになっているのを感じた。
「ねえ、切らずに治そうと思ってるんだけど・・・」
「え~!!、そんなの無理に決まってるじゃん!!!」
妻は、コテコテの西洋医学信者だ。
癌の治療は、手術、放射線、抗癌剤、
いわゆる三大治療以外の治療法が頭のなかに入ってない。
「絶対に、切って!!!」
11月18日
再び、がんセンターに行った。
インフォームドコンセント、
外科医による説明を受けていた。
「私がオペを担当することになります。」
40代半ばくらいか、
信頼できそうな感じを受けた。
しかし、この医師も疲れているように見えた。
内科医から私が切らないで治したいと言っているのを
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