おばあちゃんのドライバーは早稲田卒

冒頭、「快適さ」がオーストラリア生活のキーワードだと書いた。そう、まさに私はシドニーで、「快適なる生活」を知ってしまったのである。人間、一度いい思いをするとそのことが脳にインプットされ、それ以上の快感を求めるという。シドニーで快適さを知ってしまった私は、さらなる快適な地を求めて広いオーストラリア国内を移動することになる。  

パースはシドニーから4000キロ西に位置するオーストラリア大陸の西海岸随一の都市である。「世界で一番天国に近い町」という異名があるほど美しい町である。このパースの近くにフリーマントルという小さな、しかし実に雰囲気のある港町がある。この港町でたまたま行われたエキシビジョンに参加する機会があり、2泊3日でシドニーから出張した。シドニー・キングスフォードスミス空港からアンセット航空で約3時間の空の旅である。 
途中、飛行機の窓から眺めるオーストラリア大陸は荒涼としていて、人家がまるでない。道路も見えない(あるにはあるのだろうが)。ただとてつもなく広い大地があるのみだ。そう、まるで月面を思わせるような光景である。オーストラリアの人口1700万人のほとんどが海岸部に住んでいるというのも頷ける。フリーマントルはパースの町から車で30分ほど。フリーマントル・プリズン(刑務所)があり、観光名所になっている。内部は見学できて、囚人たちの部屋やギロチンなどを見て回るのはとても楽しい。ここの土産物屋で囚人の部屋の鍵を買った。今でも大事にしている。その日の夕方、港に面したとある地元のレストランでシーフードを食べていたときのこと。はるかインド洋の水平線に夕日が没しようかというまさにそのとき、レストランにムードのある音楽が流れ出した。何だろう?とあたりを見回したら、これからインド洋に沈む美しいサンセットをバックに結婚式が行われるところだったのである。(何という素敵な計らいであろう!)そのとき涙が出るほど感動したことを思い出した。 
  
パース、フリーマントルがシドニー以上に美しい街であることを知った私たちが次に旅行目的地に選んだのがタスマニアである。タスマニアはオーストラリア大陸よりもさらに南に位置する島で、周囲は太平洋というよりは南極海が近い。タスマニアに住んでいる人を現地の人は、オージーに対してタジーと呼ぶ。タスマニアと言って思い浮かぶものは何もない。タスマニア・デビルという動物やそばを作っていると言う話は少し聞いたことがあるが、まずは未知といっていい土地だった。勤務先の現地スタッフの肉親がタスマニアに住んでおり、私の子供がシドニーで生まれたときに、子供の足型をとって、銅製の足型をタスマニア在住の肉親の方に作ってもらったことがあった(本当に素敵な誕生祝いで、今でも大切に自宅に飾ってある)。                         さて、シドニー・キングスフォードスミス空港(よく出てくる空港だ!)から空路3時間ほどでタスマニアの北の玄関口ロンセストンに着く。空港のレンタカー屋で車を借りて、いざホバートまで約200キロ(正確な距離は忘れてしまった)のドライブである。車窓から眺める景色は広大な自然あるのみ。北海道の荒野を走っている感じである。途中、小さな町に立ち寄る。カフェで一服し、土産物屋を覗いて、出発した。ロンセストンを出発してから3時間後、州都ホバートに到着した。タスマニア島最南端に位置している港町で、南氷洋漁業の拠点である。そこから眺める海はタスマン海から南極海へと続いている。市内の観光案内所で観光名所を聞いたら、Mt.Wellington(ウエリントン山、標高は1500m位だったか)は車で登れるという。せっかく、ここまできたのだからとウエリントン山を車で登ることにした。頂上からはホバートの町やその周辺の山々がよく見渡せた。驚いたことにみぞれ交じりの雪も降っていた。 
オーストラリア有数の港町であるホバートは、シーフードがおいしかった。

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