和をもって尊しと成す⑹
そんな先生が引退されて心にぽっかり穴が空いたようになっていたのですが、去年の10月ごろに、T恵を担当してくださっていた先生が事情でお休みになられ、K子先生が急遽、代理で数週間入ってくださいました。
T恵はもちろん大喜びでした。
K子先生からは漢字の練習をしていることは、一切何も聞いていなかったのですが、その代理で来てくださっているあいだに、先生はチャンスだと思って、きっと、ずっと心残りだったことをしてくださったのです……。
普通の子と違って、T恵に何かを教えるのは大変なんです。そんな簡単に数時間でできることではありません。
それはわたしが一番良く知っています。
様々な行き違いは人間だからありますが、現場の先生方は一生懸命やってくださっていて………。
私の知らない、見ていないところでどれだけの愛をいただいているのでしょう…。
K子先生の無償の愛、思いを感じて、それでわたしは涙してしまったわけです。
前置きが長くなりましたが、というわけで、冒頭の「和を以って尊しとなす」……
とにかく角を立てないようにその場だけなあなあにするのではなく、意見の違いをおそれず、でも、壁を作るのではなく橋を架けて、お互い心を開いて受け入れ、できるだけ和らぎ仲睦まじく話し合えば、それがきっと最善の道に繋がる……。
K子先生とのあいだで試行錯誤の末に辿り着いた関係はこの大切なことを教えてくれました。
今の世の中、社会はけっこう冷たかったり、偏見を持っているのは事実ですが、それでいて、人の痛みや思いをしっかりと受け止め、他人事ではなく考えてみようと思う人たちがいるのも事実なんです。
人間の社会もけっして捨てたものではないと強く感じています。
子育て中の親たちは、人を信じて、人を頼って、こどもと向き合うゆとりをもってほしいです。
自分ひとりだけの力でたたかうなんて……
ラスボスに勇者一人で挑むようなもの。
支援魔法や回復魔法を使ってくれる人も、共に攻撃してくれる仲間もいません。
勝てっこないです。
ひとりで頑張っても上手くいかないときは他の人の力を借りてもいいんじゃない?
ひとりで頑張らなくてもいいんじゃない?
って思ったときに、私の肩の力がフッと抜けました。
肩の力が抜けると、気持ちが軽くなって、不安でできなかったことも、できるかな?やってみよう…って思えるようになりました。
K子先生には申し訳無いことをしたとずっと思っていました。
もっと私が早くこういうことに気づいて対処していれば、先生に余計なストレスをかけることもなかったし、T恵にとっても最善のことをしてやれたのです。
もし、私の失敗が他の方の役に立てば嬉しいです。
これからも私と娘たちの行く先には様々なことが待ち受けていると思います。
普通はエネルギーを使うことなく通過できるようなことも私たちはいっぱい考えて、悩んで、話し合って、アクションを起こして行かなければなりません。
ゆっくりゆっくりマイペースで。
でも休むことなくまわりの景色も楽しみながら。
そんな大変な道のりも普通では見られない景色が見られて出逢いがあって……ちょっといいなって最近は思って娘たちに感謝している私です。
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