おばあちゃんのドライバーは早稲田卒

地下鉄の話を続けよう。この地下鉄、私が在勤中、帰宅のラッシュアワー時に地上から切符売り場に降りる階段の入り口を、何の前触れもなく、いきなり全て閉鎖してしまったことが何度かあった。

何でも構内で不審物が発見されたとかで、安全が確保されるまでシャッターが開かず、1時間近く地上で大勢の帰宅の途につく人々が待ちぼうけを食らったことがある。地下鉄が時間通りに来ることはまれで、また時々、駅を1つ飛ばして運転したりする。そして、しょっちゅうストライキを起す。 毎日何が起きるのかが分からないのがロンドンの地下鉄だと言えよう。1分遅れてもアナウンスする正確無比な日本の地下鉄とは比較にならない。

 

ある年のストライキの当日、セントラル・ラインのウエスト・アクトンに住んでいた私は、たまたまホワイト・シテイ駅(国営放送BBCの最寄り駅)まで臨時列車が走ることになったので、ホワイト・シテイまで臨時列車で行き、そこからバスで街の中心部へ出ようと試みたが、来るバス、来るバス満員でいつまで経っても乗車できなかった。バスを諦め、ホワイト・シテイから事務所のあるリージェント・ストリートまで歩くことにした。途中、壮重な建物で名高い自然史博物館や映画「ノッティン・ヒルの恋人」で有名なノッティン・ヒルゲート駅、ランカスター・ゲート駅と地下鉄駅に沿って歩き、広大なハイド・パークの横を通りながら、オックスフォード・ストリートをマーブル・アーチ駅、ボンド・ストリート駅と歩き、会社の最寄り駅であるオックス・フォード・サーカスに着いたのは家を出てから3時間後、お昼近くになっていた。

 

ベーカー・ストリートのゲストハウスに滞在しながら、週末は住居探しに費やしたことは前述したが、家探しといっても、広いロンドン、どこでも良い訳ではなく、1年後に妻と2人の子供が渡英することを考えて日本人学校から歩いて通学できるエリアに限定された。

 

地下鉄セントラル・ラインでオックスフォード・サーカスから約20分西へ行ったところにあるウエスト・アクトンという駅が最寄り駅だった。小さな駅で、外に出るとインド人が経営するニュース・エージェントが2軒、酒屋が一軒、日系の不動産屋が一軒、クリーニング屋が1軒、それに「あたりや」という名の日本食料品店と薬局位しかなかった。   

 

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