終わった人

話が飛ぶが、1年後、家族が渡英してきて、上の子が地元のサッカークラブに入った。あるとき、サッカー日本代表とアフリカの代表(どこの国か忘れてしまった)との国際親善試合がサザンプトンのスタジアムであった。雨の中、ウエスト・アクトンからバスをチャーターして、サッカークラブの子供たちや保護者で日本代表を応援しに行ったことがあった。

スキンヘッドの小野伸二を真近で見ることができたのには感動した。

 

また、別のときだったが、日系新聞社のつてで、当時ポーツマスに移籍していた日本代表ゴールキーパー、川口能活を息子の入っているサッカークラブが呼ぶことができた。ポーツマスでは控えに回ることが多かった川口能活だったが、長靴を履き、ジーパン姿の格好で子供たちの前に見せにきてくれたときには、その気さくさに驚いた。

ポーツマスはイギリス南部の古びた港町である。川口能活はそこにサッカー選手として数年間住んでいたのである。

 

と、かように海外で暮らしていると、日本ではまず、お目にかかることができない人と直接お会い出来る機会が時たまある(もちろん、そんなにめったにない)。川口能活もそうだが、シドニー駐在のときもラグビー元日本代表の松尾雄治氏などとも真近に接することができた。ミス東京の女子大生と夕食を共にしたのもシドニー時代のことである(こんな機会は日本にいるときはありえない) 。

 

さて、話が脱線してしまったので、ボーンマスに戻す。自宅を出て、2時間後、イギリス南部の海浜リゾート地ボーンマスに着いた。浜辺に近づくにつれて、沿道にはしゃれたレストランやB&Bを多く見かけるようになる。B&Bは正式にはBed & Breakfastといい、ベッドと朝食を提供する個人経営の宿泊施設である。日本で言うところの民宿である。

イギリスではこのB&Bが大変普及していて、そのサービスのレベルを星マークで表示している。もちろん、星の数が多い施設ほどサービスの質が高いのである。部屋にはベッドとシャワー、TVがあり、朝食は宿泊客共有スペースでとる所が多い。朝食は、ゆで卵にパンにジャム、ジュースといったシンプルなものがほとんどである。

 

赴任後3年目の夏休み、家族が日本に一時帰国している期間を利用して一人でスコットランド全域をレンタカーで1週間ドライブしたことがあった。そのときスコットランド各地で利用したのが、B&Bである。

 

話があちこちに飛んで申し訳ないが、B&Bで思い出したのだが、サザンプトンの沖合いにワイト島という小さな島がある。

この島でB&Bを経営している日本人女性がいて、おいしい魚介類を出すとの評判を聞きつけたので、家族が渡英後のある週末、1泊2日の旅程で行ってみた。自宅からサザンプトンまではM3を辿り、サザンプトンを過ぎてしばらく行くと、リミントン(Lymington)の標識が見えてきたらM3を降り、リミントンへ向かう。途中、珍しく鉄道の踏切を横断した。イギリス本土からワイト島へ渡るにはカー・フェリーを使うが(1)ポーツマスから行く方法(2)サザンプトンから行く方法(3)リミントンから行く方法の3通りある。リミントンから行く方法が一番船に乗っている時間が短そうなので、リミントン経由をとった。

フェリーの乗船時間は20分ほど。ワイト島は大きな島ではないが、かつてロンドンの富豪たちの別荘地、避暑地として栄えた。日本人女性経営のB&Bは評判どおりで、さざえのつぼ焼きを始めとするおいしい魚介類をごちそうになった。食材は島の市場で定期的に調達するらしい。宿の目の前は広い芝生のグランドが広がっており、子供たちが遊ぶには打ってつけである。翌日、近くの海岸まで歩いてみた。浜へと続く一本道の両側に2,3軒お店が立ち並び、ビーチサンダルや海水パンツ、浮き輪、フランクフルトやジュースなどを売っている。どこか懐かしさを感じさせる雰囲気がある。そう、子供の頃、父親に連れられて行った千葉あたりの海岸の雰囲気によく似ているのだ。こんなところもあるのだとイギリスに親しみが増したことを思い出した。

 

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