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17/3/2

第1章 ありのままの自分

Image by Olia Gozha

俺は余りに悲惨な光景から現実逃避するために、瞼を閉じた。

ほんの数秒間が経過しただろうか、ゆっくりと躯が揺れた。

そして、その間の記憶がなくなり、ふと我に返った。

そう昇華したのだ。身に起こった現実はそれを物語った。

瞼を開くと、そこはいつもと変わらない駅舎、いつもと同じ時刻に下車する自分がいた。

しかし、俺の闇にはもう一人の自分が宿ったのかもしれないのだ。

そして、おそらく夢でも見たのだろう。数秒前の凄惨なる光景は

跡形もなく消えていた。そう昇華したのだ。

沃素やドライアイスが気化するが如く。

社会から抹殺された、もう一人の自分がまるで宿主を借りるかのように。

そして、数年後。~今はそんな事故さえも憶えていない。

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