借金を残して自死した父⑤最終話
沢山の人にお金を貸して、金融会社から借金をしていた父、
父を頼りに来ていた人に会いにいきましたが、みんな知らぬ存ぜぬでお金を返すつもりも、
父が亡くなった事を悲しむ人もいませんでした。
何故父は亡くならなければいけなかったのか、
兄も私も
父の寂しさに寄り添えなかったのは事実です。
私が高2の時離婚、再婚してまた離婚した父を当時の私達兄弟は、煙たがっていました。
父は10歳くらいで実母を亡くし、その後新しいお母さんが来ましたが寄り添えず実家を出たと聞いていました。
だから、まっすぐに私達子供に愛情を示すことが難しかったのかなと思います。
しかし、幼い時から私は父から溺愛されていました。父は仕事の合間にいろいろな場所に連れて行ってくれました。
後々わかったのは、父はアルコール依存症で治療を受けていたこと、
その治療薬として断酒薬(シルデナヒィル)を使用していました。それとお酒を同時に飲むと異常なほどの苦しみだと聞きました。父はその断酒薬を飲んで亡くなっていました。
私はショックで精神の限界にいた兄の代わりに法テラスに行き多額の借金の処理を相談にいきました。
優しい面影の弁護士さんと話していたら、父への悲しみがどっと出てきて、脱力したのを覚えています。結局多額の借金は父の全ての財産を放棄することで払わなくてよくなりました。
その後、父を助けることが出来なかった私は誰かの力になるために、
医師を目指して歩きだしました。一から人生をやり直すために、そして
誰かの本当の力になるために。命尽きるまで私は父の死から学んだ
真の優しさを医療を通して実践していきたいと心から思いました。
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