おばあちゃんのドライバーは早稲田卒

今日も高齢者を乗せて車のハンドルを握る。いつもの道、いつもの街路樹、いつもの保育園児の登園風景。抜けるような青空を見ながら私はこんなことを思い出していた。


春の東京の風物詩になっている早慶レガッタを見に浅草へ行ってきた。

西武池袋線大泉学園から池袋経由で丸の内線に乗り換える。そのまま大手町まで行ったのはいいが浅草への行き方を忘れ駅員さんに尋ねる。千代田線で三越前まで行き銀座線に乗り換えて下さいとのこと。はじめから池袋から山手線で上野駅まで行き銀座線に乗り換えた方が早かったと後悔する。とまれ浅草に着いたのが午前11時半近くになってしまった。さっそく吾妻橋まで歩き隅田川を眺めるが早慶レガッタはおろかボート1台見当たらない。場所を間違えたのかと一瞬思うが前日、ネットで浅草下車徒歩何分かで言問橋へという説明を思い出す。近くの案内板で言問橋を探すと吾妻橋の一つ上流にあることが分った。川沿いの散歩道を歩いて上流に向かう。人は結構多い。散歩道から言問橋が見えたが橋の上には見物人らしき人影が見当たらない。しかし皆、上流方向に向かって歩いていくので早慶レガッタを見に行くのだろうと思いその流れに乗る。言問橋の下をくぐると遠くから太鼓の音が響いてくる。きっと大学の応援団だろう。対岸を見やると早慶対抗レガッタの横断幕がはっきりと見えた。レガッタの

ゴールは言問橋よりもさらに上流の桜橋の先だったのだ。川面に立つ波も心なしか吾妻橋近辺のそれよりもおだやかに見える。桜橋のすぐ横の岸辺では早稲田、慶応両校の応援団、チアリーダーが華やかな応援合戦をしていた。桜橋のほぼ中央付近の欄干に肘をついて吾妻橋方面を見やる。生憎の曇り空だ。第2エイトと東大、一橋OBの招待レースを見たら雨が降り出したので来た道を戻り、浅草駅近くのファーストキッチンでアイスコーヒーを飲みながら3時半から行われるメインイベントの両校対抗エイトのスタートを待つ。やがて対抗エイトのスタートを告げるアナウンスがあった。3700メートル以上も下流からこちらに向かって漕いでくるので当然ながら両校のボートは見えない。10分位経ったろうか。言問橋付近に両校の艇を認める。アナウンスは早稲田が少しリードしていることを告げている。艇がみるみる大きくなり、桜橋に近づいてくると早稲田がリードしていることがはっきり分った。艇はみるみる桜橋の下をくぐりやがてゴールにたどり着いた。しばらくして赤旗が立ったので審判協議中であることをアナウンスが告げている。早稲田が先にゴールしたのにどちらが勝ったのか協議中だというのだ。

しばし桜橋の上で結果報告を待ったがアナウンスは協議中を繰り返すばかり。どちらが勝とうが本当はどっちでもよかったのだが早稲田OBとしては早稲田に勝ってほしいとの思いを残しながら浅草を後にして帰路についた。早稲田がコースアウトで失格、慶応の優勝を知ったのは

自宅に帰ってネットで知った。今日の日のために1年間必死に練習してきた早稲田の部員たちの悔しさはいかばかりだったろう。

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