31歳 妊娠4ヶ月 肺ガン発見から妊娠継続治療法を選択し命をかけ出産をしたシングルマザー〜発病編〜
はじめに。リリカと私の出会いは9年前。
出会いのきっかけは、リリカが不動産の仕事をしている私に友人からの紹介でアパートを探しにくれた。
リリカの第一印象は、色白の綺麗な塩美人であったが、話し出すと田舎のどヤンキーそのものであった。でも、ぶっきらぼうな感じで、愛嬌あり姉妹のような関係になるまでには、時間はかからなかった。
リリカと出会い、数年がたった
2016年春、不動産の仕事を育児休暇で休んでいる私のもとに一本の電話が入った。
リリカから、また、いつものように住み替え希望で物件を探して欲しいと連絡がきた。
そして、それ以外に報告したいと話してきた。
「よーちゃん。妊娠したんだ、、、今、5週になった」
「え??やだ!おめでとーーー!びっくりだ!!悪阻大変だけど、楽しみが増えて仕方ないね!!」
いつ聞いても、友達や知人からの結婚報告や、懐妊報告ほど嬉しいものはない。幸せは伝染すると私はいつも思う。それほど自分の事のように嬉しかった。
そして、ちゃくちゃくと、出産に向けて、物件探しをし、契約直前の、妊娠12週になった頃、リリカの身体に異変が起きた。
リリカが倒れたのだ。
寝ているリリカの胸を、トンカチで打たれたような、ズドーーーンっという突き刺さる痛みが襲った。
リリカは電話をとり、別居している母に付き添ってもらい、緊急センターへいった。
そこで、肺に影があることを告げられた。
呑気に団子を食いついてる私のもとにLINEが入ってきた。
「よーちゃん。わたし、予想より悪いかもしれない。」
いつもより、弱気なメールに、身体中に電気が走った。
団子は、食べきれなかった。
妊娠中のリリカを思うと、いてもたってもいれなかった。
何にもわたしには出来ることがない。
脱力感と、次週に控えた精密検査の結果に、希望をもったが、それでも、私は不安で眠れなかった。
数日後、リリカを車で迎えに行き、アパートの契約どころではないから、キャンセルしてもいいんだよ?と話したが、リリカは、アパートを契約すると言うので契約に私も立ち会った。
契約の最中、精密検査入院をする病院から、電話が入ったら。新たに大変な事実が更に発見されたので、明日は予定より1時間早く来院して下さい。っと言った内容であった。
リリカは、電話を切ったあと、いきなりぶち切れた。
「なんだょ!言いてーことがあるなら、先に電話で言えってんだよっ!気になるよーな電話してくんじゃねー」
あれ?いつも通りのリリカである。
私なら、そんな電話されたら、言葉を失ってしまうだろうに、リリカは、逆ギレしていた。
契約が終わり、帰り道、リリカに病気のことを聞いてみた。
「めんどくせーから、まじ、なんも考えねーよーにして寝てる」
奮起するしかなかったのだと悟った。
弱気に検査結果に怯えて不安になるのではなく、奮起して、自分の身体に怒りをぶちまけていたのである。
そして、なるよーにしかならないけど、時間はないかもしれないから、大切な友達との時間を過ごしたいと大阪の友人のところへ、検査が終わったら予定を組んでいたのだ。
リリカが奮起しているのに、わたしも、リリカの事で弱腰に不安になってるばかりじゃダメだと感じ、いつも通りの生活に戻った。
3泊の検査入院が終わり、検査結果が2週間後にでた。
原発は、肺がんであった。
そして、脳にも転移が見られた。
すぐにでも治療が必要になった。
その時、すでに、お腹の赤ちゃんは15週を迎えていた。
先生は、治療によっては、最悪の結果、赤ちゃんを諦めていただくことになる事も覚悟してくださいとリリカに告げた。
《次回、治療編に続く》
ストーリーをお読みいただき、ありがとうございます。ご覧いただいているサイト「STORYS.JP」は、誰もが自分らしいストーリーを歩めるきっかけ作りを目指しています。もし今のあなたが人生でうまくいかないことがあれば、STORYS.JP編集部に相談してみませんか? 次のバナーから人生相談を無料でお申し込みいただけます。
あなたの親御さんの人生を雑誌にしませんか?
著者の稲山 洋子さんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます