私が上場企業の役員の地位を捨て、海外移住に踏み切った理由(2)40歳転機説

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 実は30代中盤頃から、40歳という年齢を強く意識していた。人生80年の時代。そう考えると40歳はちょうど半分、まだ半分、たかが半分。ストレートの大卒が22歳で社会に出て、60歳の定年まで働くとして(あくまでも仮定の話)、働くのはたった38年間。そして、その中間地点は41歳。そう、ますます40歳という年齢の重みが増してくる。そして、ある尊敬する経営者の方から言われた一言、「40歳って人生のターニングポイントじゃね」。


 前職では前回お話した通り、私は要職に就いていた。何から何まで責任を負う環境の中、最大の責務の一つは人の採用。年間500通以上の履歴書に目を通し、週平均2人の採用面接を行っていた。そうした過程の中でいつも思っていたこと。それは、「どうして同業種、同業界からの転職ばかりなのか?」ということ。例えば、20代後半の人が、たった数年のキャリアをベースに、自分を○○屋と定義する。大学の建築学科を出て建築設計事務所に5年間勤めたから、自分は設計士。確かに、その通りと言えばその通りなのだが、私にはしっくりこなかった。人間は間違える。何歳になっても過ちを犯す動物。そして、成長する。変わる。たかが20代で、ほんの数年のキャリアで自分を定義してしまってもいいのか?勿論、その仕事が好きなら良い。それは素晴らしいことだ。しかし、自分の仕事が好きで好きで毎日仕事をしている人ってどのくらいいるのだろうか。勿論、「好き」と「やり甲斐」は違うし、生活もある。誰もが、「好き」を仕事にできるわけではない。


 作家の百田尚樹さんがこんなことを言っていた。「好きなことを仕事にしたいなんて考えはおかしい。好きなことは、自分でお金を払って得るものである。好きなことをしてお金を貰おうなんて、少し虫が良すぎはしないか?」。確かに一理あるように聞こえる。しかしながら、私は百田尚樹さんの大ファンであるが、この言葉にはあまり説得力を感じられない。百田さん自身が、どう見ても楽しそうに仕事をしているのだから。もう一人、私が尊敬するホリエモンも(ホリエモン、誤解を招きやすい人ですが素晴らしいです。騙されたと思って、彼の最近の著書を一冊読んでみてください)、「好きなことやったほうが良いよ」といつも言っている。その通りだと思う。しかし、私はここで「好きなことを仕事にすべきだ」と言っているのではない。そんなことを言うつもりもないし、言う資格もない。自分自身で実現できていないことを人にとやかく言うことはできない。ただ私が言いたいのは、長い人生の中のたった数年の、人生の数分の一にも満たない年月のキャリアで、自分を定義してしまうのは危険ではないのか、少し勿体無いのではないか、ということなのだ。

 私は30歳代後半にこうした考えを持っていた。更に、「文系出身」ということで何の専門性もなく、手に職もない。だから、40歳を超えてから、それまでのキャリアとは全く畑違いの仕事をすることに、一切の抵抗を感じていなかった。というよりも、「全然違うことがしたい」という熱い強い想いを持っていた。そんな私にとって、イギリスでMBA(経営学修士号)を取得した同級生が(筆者は42歳の時に英国留学している)、留学前と同じ業界に戻っていく姿は、私に「どうして?」という疑問を投げかけた。勿論、社費留学の人が元の会社に戻るのは仕方がない。しかし、それ以外の人たちは、人生の幅を広げたくて、それまでの環境では得られない体験を得たくて、異国の地イギリスに行ったはずなのだ。せっかく得た「自分を再定義する機会」を放棄してしまって本当にいいのか。私にはそう思えてならなかったのだ(もちろん、彼らにはそれぞれ事情があるのでしょうが)。



 いつしか私はこのような考えを持つようになっていた。先ほども書いた通り、自分を強く定義できる専門性が無かったからこういう考えに至ったのかもしれない。いい年して自分が定まっていない、良い言い方をすれば極めて柔軟。そう、こんな柔軟な思考を持ち合わせていたからこそ、30代後半で感じ始めた「危機感」を無視できなくなり、それらが日に日に自分の中で増大していったのかもしれない。


少し整理してみると、こういうことになる。


40歳を人生の転機と強く意識していた。

人生の後半半分は、前半とは全く違うことをしたいと思っていた。



そして、そんな思想を持った私を3つの危機感が襲った。

その危機感とは、


1.英語ができないとやばい。このまま英語ができないと大きな損をするのではないか。

2.仕事が面白くない。大体のことはできる。すっとこれをやり続けるのか。

3.遊んでもいても面白くない。十分遊んだ。やばい、飽きた...


そう、この3つの危機感こそが、私に海外移住を決意させた要因なのである。


次回へ続く。


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私が上場企業の役員の地位を捨て、海外移住に踏み切った理由(3)危機感1 英語ができないとヤバい

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