独立系?ユニオン、組合と遭遇して その3
部下のマネージャーのパワハラを始めとする乱行に終止符を打ったと安堵したのも束の間、事態はまさかの展開に。
さて後は同意書にお互いにサインしてお終い。
と、そう思って出社し部屋でマネージャーと人事部長が来るのを待っていた。
が、中々来ない。
???
時間が掛かっているというのは大体良い知らせではない。
と、不安を募らせていると言い合う声が近づいて来た。
「だから私は退職を強要された。脅された。」マネージャーの声だ。
「脅してなんかいないでしょう。あなたが同意したんですよ。」人事部長が諭すように返す。
部屋に入って来た二人の話を聞くと、こんな事になっているようだった。
人事部長が合意書の内容を確認の為に読んでいると、マネージャーが自分には退職をしなければならない理由が無いと主張。
昨日、同意したのも初めての事で動揺して頭が真っ白になってしまったからだと。
(居座るつもりか、条件闘争か?)
こちらとしては退職の合意があったので後は粛々と処理を行うとの立場を貫くしか無い。
マネージャーは自分には非がない、辞めるつもりは無いと感情的に叫び続ける。
ふと部下が言っていた彼女の夫はCIAの高官らしいとの言葉が頭をよぎる。
(暗殺されるかな?)
「私にも生活がありますし。急に辞めろと言われても。」
これも部下達が前の会社を辞めた際に多額の保証金を手にして豪邸を建てたと言っていた事を思い出した。
(自分の家から近いところにあると聞いた事が有るから、一度探りに行ってみる必要が有るかもしれないな)
「一度、退職という事で合意しているので今更生活があると言われても、もう会社に貴方の席も仕事も無いのですよ。そこの所をよく考えて貰わないと。パワハラという原因もある訳だし。出るところに出てもどうにもなりませんよ。」人事部長がダメだしをする。
話は同じ事の繰り返しになり平行線のまま。
「もう一度、今日の話を元に週末考えて見て下さい。
繰り返しになりますが既に話は自分や人事に留まっている訳では無く本社から来たディレクターから本社にも伝えられています。
兎に角、仕事はもうありませんのでパソコン、電話、社員証は一旦回収させて貰います。」
人事部長が更に押し込む。
「じゃあ来週事務所には入れないではないですか。」
「いやいや人事に電話を貰えれば鍵を開けますから。」
マネージャーは暫く考え込んでいたが、
「私にも相談する人がいるので、相談をした上でまた来ます。」と、言い放って部屋を出て行った。
残った人事部長に、
「弁護士にでも相談するつもりでしょうかね?
当方も人事に強い弁護士をお願いする必要があるかと思うのですが誰か心当たりはありますか?」
「前職の時に世話になった先生がいます。優秀でちょっと高いですけど費用も少しは相談できるかと。」
所属弁護士事務所の名前を聞くと有名どころ。高くつきそうだ。
久々の法律談義となりそうだが訳の分からない議論を続けるよりも良いかもしれない、と思っていたのだが、その思いは一枚のファックスで一蹴されることとなった。
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