加計学園の獣医学部開設の話が

遂に新学部の承認権限を有する文部科学省の当時の事務次官が「怪文書」の存在を認めた。公務員の天下り斡旋問題で事実上更迭された官僚が今、この様な発言をする意味は?

事務次官と言えば官僚のトップ。

「事務方」のトップと言われるのは、法律上官庁のトップは大臣であるからだが、事実上官庁を動かしているのは事務方の官僚である。

よって今回の官邸、内閣府との交渉でのキーマンの一人であった事は間違いない。

文部科学省は52年間、新規の獣医学部の開設を認めて来なかった。加計学園も過去8年間で15回開設申請を行ってきたが、悉く跳ね返されてきている。

この規制の岩盤をつき崩す為に取られたのが官邸、内閣府主導の特区。

官邸、内閣府主導であっても関係官庁の了解は取得しなければならない。

そこで文部科学省に対しても何らかの意向が働いたとしても不思議では無い。

一般の企業でも他部署の同意を得る為に「社長の意向だから」とか、「役員会の決定だから」という形で暗に圧力をかける事は頻繁に行われている。

だから暗黙の圧力自体は、行われようとしている事が正しい事であれば必ずしも悪い事とは言えないのでは無いかと思う、しかし、行われようとしている事が特定の人の利益に直結するのであれば話は別だ。事に行政は法律に基づき国民の利益の為に行われる事が必要。

今回の獣医学部新設の場合、規制の理由は獣医が足りているという文部科学省の主張と、口蹄疫や鳥インフルエンザなどの蔓延への対応の為に獣医師の増加が必要だとの官邸、内閣府の主張。

論点ははっきりとしているのだから後は数字で検証を行えば良いだけだと思われる。

所が新規需要についての数字を今回の議論で目にした事が無い。

また新規需要があるにしても既存の獣医学部の定員、国立で30人程度、私立で最高120人に比して、加計学園の計画している獣医学部の定員は160人。国立であれば4校に匹敵、全体でも16%増となる。

余り知られていないが日本の獣医師の給与はアメリカに比べると大幅に安い。

私立だと年間2百万円位の学費を6年間払って、国家資格に合格をしても、給与は一般事務員とそう変わらない。民間の動物病院の場合、労働時間の長さを考慮すると寧ろ低い場合も多い様だ。

今回の獣医学部新設の承認を文部科学省が拒んできた理由として、獣医師会の抵抗があったと言われるのにはこの様な事情もある。

この点については今からでも将来の獣医師の需要についての議論と、公的目的で獣医師の増員が必要なのであれば、その予算措置を行えば獣医師会からの理解も得られるのでは無いだろうか。


今回の前事務次官による内部文書の存在の暴露の話に戻ると、天下り斡旋問題と共にもう一つこの人について「出会い系バー」に通っていたとの報道がなされたが、場所に問題が無いとは言い切れないものの犯罪行為を犯した訳でも無い段階での個人的行動の報道には首を傾げざるを得ない。

安部内閣の対応として、反対勢力に対して、その個人の人間性を否定して主張の正当性を蔑ろにしようとする傾向が見て取れるからだ。

報道されたのが何かと安部首相との近い関係が窺われる読売新聞だということも気になる所だ。

低下しつつあるとは言え高い支持率、と言うか他の政党の低い支持率のせいで驕り高ぶって、自分の意にそぐわない人達を排除しようという動きであれば危険な動きだ。

特に、衆議院を通過したテロ等共謀罪による広範な事前捜査が、これらの動きに加わるとそんな事は無いとは信じたいが戦前の民意弾圧、そして開戦へと突き進んだ時代を思い出さざるを得ない。


たかが動物の医者の学校の新設の問題ではあるが、その奥にあるリスクに対して我々国民の厳しい視線を維持していく事が重要である事が思い起こさせられる問題がでもある。



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