商社マンだった僕が、アドラー心理学に基づいたコーチングを始めたわけ
「・・・・・・・・」
沈黙、
重い空気、
少し効きすぎているエアコンの風、
「・・・・・・・・」
ポツ、ポツ、と車の屋根をたたく雨音、
軽く握ったこぶしに、じんわり感じる汗、
顔を上げられず、何となく落とした視線の先にみえる車のダッシュボード、
「コンコン」、
「コンコン」、
再び、助手席にいる僕の横から、窓をノックする音が響く
でも僕はそっちを向くことが、どうしてもできない・・・・
「コンコン」、
「コンコン」、
いったいこんなにも長くて、重い時間を過ごすのは何回目だろうか?
いや、時間にするとせいぜい1分か、そこらなんだと思う。
だけど、本当に、本当に長く感じる・・
ようやく意を決して、窓の外に目を向けると、
そこには、雨に濡れた小学生くらいの物売りの少女が立っていた。
彼女が片手に抱いている、はだかの赤ん坊は弟だろうか?
もう片方の手には、ちょっとした土産品みたいなものをぶら下げている。
ここはマニラ市街へと向かう大きな道路。それまではそれなりに順調に走っていたが街に近づくにつれ、車が混んでくる。
車が列をなして止まると、どこからともなく、彼女たちのような子供たちがたくさん出てきた。
担当が決まっているかのように、それぞれの子供たちが、車の窓をノックしたり、窓ガラスを拭いたりし始める。
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