商社マンだった僕が、アドラー心理学に基づいたコーチングを始めたわけ

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こんな体験を重ねていくうち、このまま自分や家族、会社の豊かさだけを追い求めて行くような人生に、僕自身が死ぬ、その瞬間に本当に納得できるんだろうか?との思いが募っていきました。


 

本当は、自分は何がやりたいんだろう?と自問自答し、

その時その時で、「こうしたい!」と感ずるままに意を決し、転職をしたり、仲間と起業したりしました。

 

そして数年後、水処理装置の会社に入った僕は、カンボジアの農村への給水システムの事業化への調査を担当し、3年間に渡ってカンボジアのとある村に何度も出入りすることになりました。


 

そこで見たのは、商社マン時代で見てきたアジアのどの国々よりも貧しい光景でした。

これまでもタイや中国の山奥などで、似た様な光景は目にしてきましたが、出張中にただの通りすがりで見てきたに過ぎなかったことを痛感しました。


 

途上国であるカンボジアの農村部はとても貧しく、衛生状態も悪い。

そもそも衛生に対しての知識も乏しい。

 

子供の頃に教育を受けられず、毎日の生活に精一杯な親たちは、生きていくために子供たちに働くことを求め、小学校に通うこともままならない子供たちも多い。


学校を出てない子供たちが就ける仕事は限られ、貧困から抜け出せないで、自分が親になった時には、結局、自分の親と同じことを子供にするしかなくなっていく・・・


 

いろいろな問題が複雑に絡まっていて、何か一つだけをどうにかすれば良い、ということではないことは、村に通って見聞きし、村を長年支援する人たちと話をしていくうちに分かっていきました。

また、村の方に無理を言って泊めて貰い、村の人の生活がどんなものなのか? 自分なりに体験してみたりもしました。


 

こんなことをしながら、カンボジアの村のように、さまざまな問題が絡まっていることを解決していくには、多くの時間が必要となることだろうし、また、よく言われるように「教育」が長い目で見るほど、大切となってくるのだ、ということをおぼろげながら実感していきました。


 

そんな中、現地のとある有力者と村への給水システムの設置のことで揉めたことがありました。


その人の考え方が、全く村の人のことを考えずに、自分や自分の組織だけしか考えていない態度に、あの時の車の中で感じた、あの「猛烈な怒り」 がよみがえってきました。


 

「それじゃ、なんですか? 村の人には未来永劫、きれいでまともな水を飲むなってことですか??」

 

思わず口にしていました・・・・

 

 

 

こんな体験もしてきて、僕がたどり着いたひとつの自分なりの答え。

 

それは、途上国のさまざまな問題の根幹には「教育」があって、この「教育」とは、「 ‘人の考え方’ が伝えられてきたもの」。それは、その時代や場所によって大きく関係し、その時代・場所に住む人々の人生に大きく影響する、ということ。


で、あるなら、この「人の考え方」が、

自分や自分の周りだけを大切にするのではなく、その環を、自分と同じ地域に住む人、自分と同じ国に住む人、自分と同じ地球に住む人・・・と拡げていくことができればいい!

 

これは、以前本で読んだことがある、アドラー心理学で言っていた、「共同体感覚」を広げるってことみたいだな。

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