ベルリンから見る東欧市場との関係性

ここに住んでいると仕事や生活のいたるところに東欧との関わりがでてくるのでそのについて少し書いてみます。

アメリカにメキシコや中南米、イギリスにインドや南アジア諸国、シンガポールに東南アジア諸国があるように、ドイツには東欧がある。乱暴にいうとリーズナブルで大きな市場だ。もちろんデータで証明したりいろいろな分析や見方が可能なのだろうが、いつも通り個人的な実体験値中心で書いてみたい。(なので真実とは異なる可能性があります)

どの発信元を信用するかで異なるが、おおよそベルリンの平均月収が3,000€程度だとしよう。(自分なりにいろいろなソースを過去みてきた数字で)ドイツの中でも例えばBMW本社がある南部のミュンヘン(わからん、5,000€程度?)や銀行の街フランクフルト(記憶では7,000€程度?)などはずっと高いのと、ドイツの格差社会(むしろ階級社会?)で稼いでいる人は桁違いに稼いでいるので平均値は何を取るかで大きくブレるのだが、参考値としてはありな数字だとおもう。

これに対してロシアのサンクト・ペテルブルグでは平均月収はいまでも400€程度だと聞いた。これは自分の中ではかなり驚きだった。経済の躍進するロシアでは下手をすれば既にドイツより平均月収が上がっているものだと思っていたからだ。(ちなみにロシアはモスクワがダントツに高いらしいので国内での格差も大きいのだろう)

ベルリンでシステム開発を外注したい、みたいな話題が出たときに真っ先に出てくるのが東欧。例えばポーランド、ルーマニア、ウクライナ、スロバキア、ハンガリー等の名前である。同じことは例えばUXデザイン等の領域でも言えるらしい。これらの国では先程のベルリンとサンクトペテルブルグの差額に似たような、桁違いの外注費が今でも実現できるらしい。

先日LinkedIn経由でワルシャワでウェブシステム開発の会社を経営しているひとから”お前のところでWebシステム開発の予定はあるか?”と連絡がきたので、参考までにSkypeMeetingしてどのくらいのことがどのくらいの予算でできるのか聞いてみることにした。(結果はまた書きたいとおもいます)

ハンガリーについても平均月収は1000€いかない(らしい)との事でドイツとのギャップは大きい。これら東欧の国々の西欧の窓口に地理的にもなってるのがベルリンだ。だからベルリンはドイツの中では最も給料が安い都市の一つとなっている(首都なのに!)これはただの事実なんだけど、安いことによるメリデメが当然ある。

ベルリンのスタートアップ企業などでは東欧系の若い人たちがかなり活躍している。(残念なのは経営層はまだドイツ人が大半ということだ)母国との経済的ギャップのせいか、給料を低くしてもわりかし優秀な人たちが採用できるとのことなのだ。ちなみに、不動産や外食等の物価は急上昇中なので、この状況は長くは続かないと思うし、安いってのはいろんな意味であまりいいことではない。

それはお金のある場所がただ偏っているというだけだと思うから。旧東ベルリン地区には不動産成金もたくさんいるし(一説によると南ドイツ人が不動産投資で稼いでるなど)、元々の金持ち、あるいは西の高級住宅地”グリューネヴァルト”の方に最近沢山住んでいるロシア系お金持ち等リッチ層はベルリンにも沢山いる。何事もそうだけど、平均収入とか、平均値なんてのは大抵あまり実態を表していない。

そもそもこっちのスタートアップが人材獲得を安く、安く抑えようとするのはアメリカのように投資市場が発展してないから調達額が少ない、あるいはブートストラップが多いから。これも変わってきている。(データでみるとベルリンのスタートアップ投資額は欧州でトップクラスだが、一部の企業に変に偏っているのと、アメリカに比べるとまだまだ小さい)なので、どこの視点でみるかによって当然見え方は異なってくる。

ベルリンの移民で一番多いのがトルコ系だが、東欧系の人たちも非常に多い。一見ドイツ人風に見えるため、慣れないとよくわからないがロシア食材店はけっこう沢山あるし、サーロやペリメニ等のマニアックな食材もカジュアルに手に入る。最近気になってる面白いことは、金融系の仕事をしている人たちのメールシグネチャーに結構な確率でロシア語が入っていることだ。実はロシアマネーがかなり流入してきているということだろうか。(??)

”ベルリンで英語が広く通じる”というモワッとした、事実とギャップを感じざる得ない情報の本質は”東欧とのコミュニケーションツール”なんじゃないかと思わせるくらいだ。実際自分がこれまであった東欧系の人たちはドイツ系の人たちよりずっと英語がうまい。世界的な傾向かも知れないがどんどん内向きになる先進諸国と比較して、経済成長している国の人達からはずっとポジティブな”国を越えた広がり”を感じる。

まとめとしては、ベルリンで仕事してると生活も仕事も”東欧”と関わることがおおいよね、っていうことです。

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