同級生のFは実はいいヤツだったという話-僕の高校時代4-

前話: キレた教師と友達を止めようとしてキレたんだけど、余裕で無視された瞬間の話-僕の高校時代3-

隣町からこの高校に来ているFは一年のときからちょっとアブナイ雰囲気を出してる感じのヤツだった。

目付きも鋭くて、眉毛も微妙に細く剃っていて、入学直後から短ラン着用で上級生に睨まれても余裕かましてたし、先生にも反抗的だった。

何かと言うと真っ赤な顔になって「んだぁ、こらぁ、どりゃあ~」と叫び誰彼構わずへッドロックをかます狂暴なヤツだった。

二年になって、Fと同じクラスになった。正直に言ってちょっと怖かったけど、ナメられまいと精一杯の虚勢を張った。

しかし、予想に反してFはめちゃくちゃいいヤツだった。相変わらず上級生にも先生にも反抗的だし、他のクラスのヤツにも食って掛かることも多かった。でも、クラスメイトとしては本当に気のいいヤツだった。

そして、Fは何より勉強が良くできた。万年赤点、青点中毒の僕や無二の親友ドスコイと違って、Fは授業態度こそ悪いものの、テストで落第点を取ったことはなかったように思う。

ちょうど初夏の今ごろの時期、テスト終わりか何かのちょっとした打ち上げがあって、クラスのメンバーが私服で集まった。色気づき始めた僕としては、女子へのアピールとして古着のシャツやらジーンズとかでキメて出かけていった。

まあ、みんな思い思いの格好なんだけど、その中でFの私服を見てちょっと驚いた。

上は薄黄色のポロシャツ、その下にきちんと白いランニングを着込んでいる。顎の下に見事に白いツキノワグマ状態の半円が透けて見える。下は出所不明のケミカルジーンズ。靴はビニールのローファー。

学校では短ラン着用でキレキレのFとのギャップに軽い衝撃を受けた。もう、それは上から下までお母さんコーディネイトなんじゃないかと思えるほどダサかったし、あるいは日曜日のパパかと思えるほどモサかった。

一応、一通り打ち上げが終わって駅に向かうとき、Fと二人になったので、とりとめないことをいろいろ話して歩いた。そこで確信したのは、上級生や先生に虚勢を張る学校でのFの姿は演じられたものであって、本当のFはやさしくて素直で、いまだにお母さんの買ってきた服をそのまま着てしまうような良い子だということだった。

駅での別れ際、Fは僕に言った。

「今日は本当にありがとね。すげー楽しかった。気を付けて帰ってよ。また、学校でね。ありがとう。」

ものすごく拍子抜けして、僕も何とか返事をした。

「お、おう、おもろかったな。んじゃ、また学校で。」

彼は笑顔で手を振っていた。

月曜日、Fはまた目付きの鋭い反抗的なヤツに戻っていた。

卒業間際に聞いた噂ではFは隣町の資産家の息子で、地元の高校に進学せずにわざわざこちらの町の高校に来たのには、何らかの事情があったらしい。

その事情は今でもわからない。

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