娘に伝えたい、僕がクビになった話

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僕はこの歳で、

人生で初めて無職になった。


荷物をまとめ、出て行く僕に

誰からも、かけられる言葉はない。


今までの苦痛の毎日から

解放された、という喜びと

どこか感じる得体も知れない不安感。


僕はこのとき

この先の生活を想像する事もなかった。



午後2時。


その日、無職になった僕は

肩を落としながら玄関のドアを開けた。


開けたドアの先には

涙を流しながら迎えてくれる奥さんがいた。



頑張ったね



その一言で緊張の糸がとけたのか

一気に涙が流れた。


こんな僕でごめんなさい。

こんな僕でごめんなさい。。。


何度、伝えただろう。

何度、言葉にしただろう


奥さんは、僕以上に不安だったかも知れないのに。



頼りない自分にいやけがさした。

頼りない自分が大嫌いになった。


そして、こんな人生を歩むことが、

もう怖くなった



この先、働いても

また同じことが起こるんじゃないか・・・


またすぐに辞めたくなる事が起こるんじゃないか・・・



その晩。

僕は不安はありながらも、

仕事から解放された安心感で眠りにつく事ができた。



翌朝、僕は

今までにない時間を手にして喜んだ。


無職といえども、何もしなくていい自由。

何をしてもいい自由。


毎日おこられていた僕は

日に日に元気になって行った。


奥さんがパートに行っている間

炊事、洗濯をテキパキとこなした。


そんな日々が楽しかった。



でも、そんな日々は長くは続かなかった



1週間も経つと、

とてつもない不安感におそわれた。



それは、クビになったあの日感じていた、

なんとも言えない不安感だった。



この先、どうなるんだ?

この先、生きていけるのか?

次はどんなキツイ仕事をしなきゃいけないんだ?


現実として起こるかもわからない未来に

とてつもない不安感、恐怖感がわきおこった。


僕はまた日に日に落ち込んでいった。


そんな僕を見て、

当然奥さんも僕にイラだった。


言い合いになることもあった。

ケンカをすることもあった。


僕は時に、自分の体を傷つけることがあった。


それを見て泣く奥さんが

そこにはいた。



それでも現実は何も変わらず、

不安で恐怖で支配され

ケンカと自傷が続き、

4ヶ月がたっていた。


こんなにも自分がわからなくなった時は

後にも先にもこれが初めてだ。


必死にもがいた。


自分が何を求めているのか、

必死に見出そうとした。


好きなことを仕事にしたい、

そんな事を言っていた僕は、

もういなかった。


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