ジャスティン・ポコ太郎

1 / 2 ページ

ジャスティン・ポコ太郎

 この世に生まれてきて60年。どうも、この国になじめない。200たらずの世界の中には、いまだに独裁国家もあれば貧困にあえぐ国もある。日本は、そういう国と比べたら良い国だと思う。

 しかし、治安の良さや経済的な発展の裏では何が犠牲になっているのだろう。

 受験指導の現場に30年。イジメで死を選ぶ生徒がいても、何も変わらない。私のように、がんじがらめの規則の中でノイローゼで入院しても何も変わらない。落ちこぼれが出ようが関係ない。

 そんな学校なら、こっちも好きにさせてもらおうじゃないか。どうせ、教師なんか卒業したらオサラバなんだから、そんな人の言うことに耳を傾ける必要なんかサラサラないんだよ。疲れるから、無理して逆らう必要もないけどね。

 教師の言うことを聞いていたら、私は50代で京都大学を7回も受けたりしなかったんだよ。中学の時から、宿題なんか提出せず自分のやりたいように勉強していた。教師の指示ではなくて、好きでやっていたから大学を卒業しても英語と数学の勉強が続いたんだよ。

 学校は、強制するから言われたとおりにやっていたら英語も数学も嫌いになってしまう。実際、私は高校で文系と決めつけられたので数学には才能が無いと信じ込まされた。

 でも、大学を卒業して面白いから勉強をし続けたら、京都大学の二次試験で7割ほど取れたし、今は四日市高校の理系のトップクラスの子の指導をさせてもらっても困らない。

 もちろん、初等数学だからプロレベルではないんですよ。でも、数学の才能が無い文系人間と呼ばれるほどでもない。

 私は、酒を飲まない。ギャンブルをしない。タバコを吸わない。ゴルフをしない。だから、会社勤務が嫌だった。仕事は好きだったけれど、すぐに

「飲みに行こうぜ!」

 というのが、嫌だった。たいていの男性は、こういう人間を

「つきあいが悪い」

 と、敬遠する。私はそれで結構だったけれど、学校とか会社とかいう組織にはなじめなかった。

 この国、日本は聖徳太子の時代から“和を以て貴しとなす”の集団主義の社会に価値を見出してきた。とにかく、人と違っていることは悪なのだ。

「みんなクラブ活動をしているのに、おまえは拒否するのか!」

「みんな酒を飲みながら、和気あいあいとやっているのに、おまえは!」

 という恫喝にも似た言葉が平気で飛び交う国なのだ。

 アメリカに着いて初日の朝をむかえたら、家の中に誰もいなかった。日本だったら、外国人のゲストを迎えたらスケジュールをびっしり組むよね。ところが、私は放置されてしまったんだね。

 それで、

「これは、どういうことなの?」

 と、ホストファミリーのパパに質問したら

「何を言っているんだ。何もかもおまえの好きにしてもいいということじゃないか」

 と、言われてしまった。

「冷蔵庫も勝手に開けていいし、どこの部屋も自由に出入りしていいんだぞ」

 それが、アメリカ式の最高のもてなしらしかった。

 その後も、ローガン中学校で

「このクラスを見学してもいいか」

 とか、

「この授業を担当できるか」 

 とか、いちいち確認していたら

「お前の好きなようにしていいから」

 と、言われた。私は規則だらけの日本社会で、何かをし始める時はいちいち許可を取らないとダメだという習慣がついてしまっていたらしい。私のような自分勝手な人間でもね。

 それほどまでに、この国ー日本は規制、規則、校則、慣習などでがんじがらめなんですよ。そして、それを一歩でも踏み越えたり、破ったりしたら村八分になって生きていけないことが多い。

 少なくとも、

「変なヤツ」

 と言われてしまう。


 私は会社をやめて、自分の塾をはじめた。とてもじゃないけど、宮仕えができなかったんです。また、息苦しくてノイローゼになりそうだったもんね。自営になったら、好きな時に起きて、好きな時に寝られた。まさに天国。

 だから、私はセンター試験を10回も受けられた。誰にも干渉されないから、京大の二次試験を7回も受けられた。三重大学では、

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。