口下手童貞少年、ナンバーワンホストになる ① 決意編
この話をするにあたって、
私がどれほどの平凡でダサい人間かを知って頂くために18歳の頃から物語を進めようと思います。
私はどこにでもいる普通の少年だった。
高校在学中にチャンスなく
童貞、
彼女なし、
お金なし、
車なし。
父は工業用薬品製造会社のサラリーマン、母は食品加工会社のパート、兄は空港の機内食製造会社のサラリーマン、雑種の犬、アメリカンショートヘアーだと騙されて譲り受けたトラ柄の猫。
四人家族と二匹の家庭である。
家庭の収入は推定だが、おそらく両親合わせ30万円程度であろうと思われる。
一億総中流のスローガンにビタッと当てはまったような家庭だった。
私は、高校はかろうじて卒業はしたものの、高校を卒業してストレートにニートになった。
大学受験も、就職活動もしなかった。
本当は、服が好きだったので、
服飾の専門学校に行きたかったのだが…
私「あのさあ、専門学校に進学したいんだけどさあ?(媚びた笑い)」
父「そんな金はない。」
一蹴であった。
それでもしつこく食い下がっていたが、最終的に父から腰の入ったフックを顔に食らい、それ以降、ふてくされて何もしなかったというのが経緯である。
周りの友達も様々だった。
もちろん大学に進学する友達もいれば、専門学校に進学する友達、
地元の会社に就職する友達。
そして
もともと高校には進学しておらず就職していた友達や、
すでに高校を中退して就職した友達……
そう、あまり全員パッとはしていなかった。
しかしながらこの時の私は、この世に生を受けてからベイビー時代以来のニートという、とてつもない自由を手にした気がしていた。
もう学校もない、
仕事もない、
バイトもない。(吉幾三風に)
ニート当初は欲望の赴くままに寝た。
そして昼過ぎに起床。
夕方になったら友達に電話して合流、
という流れが日課だった。
その当時、たまり場になっていたI君宅
(自分の部屋が有り、
親がうるさくなく、なおかつ友達の親に遭遇しなくても侵入できる良質の物件、
I君も専門学生のため暇人だった)
に毎日といっていい程足を運んでいた。
そしてたまり場でしている事といったら、
麻雀して朝、
麻雀して朝、
麻雀して朝……の繰り返し。
中国人もビックリのライフスタイルだった。
そんな無意味な日々が一か月程度続いていた。
そして麻雀中の会話といえば、
「あぁ、ほんと麻雀しかやることねえよなー。」
「ドライブでもいく?」
「行くとこないじゃん。」
「行ってもいいけどガソリン代割り勘だぞ。」
「中国人ってすげえよなー。なんで麻雀って飽きないんだろ?よく考えたよなー。」
「確かにそうだな。」
一億二千パーセントこの後の人生に影響を与えると思えない内容の会話だった。
さすがに一か月このサイクルが続くと、若干刺激を求めだした。
やはり18歳、刺激といえば女である。
「まじ暇だよー。」
「ナンパでもする?」
「お前できもしないくせに何言ってんの?」
「あ~あ~、パツキンの女が裸でいきなり襲ってきてくれないかな~。」
確実にない。
500万歩譲って襲われたとしても、実際には怖くて逃げるであろう。
ちょっぴり田舎の18歳のボーイズには、ナンパはとても重荷だった。
見ず知らずの女性にいきなり声をかける?
何を話すんですか?
とても繊細なガラスの十代には中々できる事ではなかった。
しかし、その中でも頭角を表し始めたものがでてきた。
S君である。
S「この前さぁ、Hと一緒にナンパしたんだよね。」
「本気(マジ)で!?」
S「いや~、今度の土曜日にHのアメ車でドライブ行くんだよねぇ~。」
「かわいいの!!?」
S「まぁな。中の上ってところかな。しかもギャルだよ、ギャル。(小麦色)」
「まじかよ~。行きたい!」
S「いや~、やっぱり今回は一緒にナンパしたHと行くからさー。
もしドライブからさらに仲良くなったらコンパするよ!」
「頼むぜ!」
その約束は政治家のマニフェスト同様、守られる事はなかった・・・・
そんな話もあり、
その頃には毎週土曜日には、友達と名古屋の中心街である栄(サカエ)という繁華街を、車でぶらつくという行動に出だした。
確実にS君の話の二匹目のドジョウを狙っていた。
ボーイズなりに何か(女)を求めて行動を起こした。
その結果が
「車で栄をぶらつく」
というガソリン代だけがかさみそうな方法であった。
そして車の窓越しに
「あのギャル超いい脚してるよ~。」
「ホットパンツ(ジーンズの短パン)たまんねぇな~。B‘Zの稲葉みたいだぞ。」
「いや、でもよく見たらあんまりかわいくねぇぞ。」
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