雨のふるお盆に電話がかかってきて

なんで街に人がいないんだろうと思ってたら、そういえばお盆休みだった。


実家には毎年きっちり帰っていたけど、

今年ばかりは忙しく、まだ帰れていない。


雨が降りまくっている、めずらしいお盆らしい。


8月の16日の今日。


朝目が覚めると、雨の音がきこえた。

ぼーっとした頭で携帯をみると、着信と留守電の文字。

「きよせ家のみんな」から午前8時26分にかかってきていた。


留守電を再生してみる。

あ、もしもし、たかし?お母さんやけど、

あんた大変やったね〜。

自転車乗りながら雨降ってて。

傘どうした?カッパとか何も被ってなかったね。

うっしっし。
(テレビでみたぞって言わっしゃい。)


妙にニヤニヤした声で話す母のうしろから、祖母の声が聞こえた。


傘もさせんほど雨ひどかったがかな。

なーんか、顔くしゃくしゃにして、

テレビにモロにうつっとったぞ。ふふ。

はい、ちょっと代わるよ。


祖母
あんた、たかしの顔みれんで愛想ないなあ思とったら、テレビでみたがいぜ。

まっでバックで映っとったわ。

(バック:祖母なりの「センター」の意)

こっで 2へん出たがいぜ。

おばあちゃん、
『あらー神さまが引き合わせてくれたんや』と
思ったわ!

また出るかもしれんから、このテレビの番組、
朝日放送のが私ずっとみようと思とんがいぜ。

たかし元気でおいでー!はい、ありがとう。

...こっで切っときゃいいが?


(うんそうそう。)と母の声。

そこで、『ガチャッ』と電話が切れた。


家族の声は、ふしぎなものだ。

実に蘇った気持ちになる。

蘇る前の自分は、一体何だったんだろうと思う。


意識の底から、わっと浮かび上がったものは、
時間がたてば、ゆらゆらまた沈んでいくのを知っているから、
すこし哀しい気持ちにもなった。


iPhoneを机に置いたあとは少しだけ、

地元に帰ったような気分だった。


ただ、一つ、


最近の雨の日は、ほぼ必ず傘をさして、

チャリではなく歩いて移動してるから、

たぶん違う人だと思うのだ...!


しかし、夜になってまた電話がかかってきた時、

母と祖母が口を揃えて間違いないというもんだから、

ひょっとすると、テレビ局が別の時期に撮影した動画を今つかってるのかもしれない。謎だ。


むかしは嫁姑でいろいろあった二人で、

二人の間にはさまれて、すこし悩みが多めの少年時代を過ごしていたから、こうして電話をかけてくれたのは、うれしくもあった。


機をみて、近いうちに実家には帰ろうとおもう。

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