河川事故が増えている要因の一つは国の河川政策の失敗
今年も夏休み期間に河川事故で亡くなったとのニュースが相次いでいる。昔も河川事故で亡くなる人はいたが、これほど頻繁ではなかった様に思う。
事故が増えた理由の一つは日本の河川がそこへ人々が遊びに来ることを前提とせずに整備されていることがある。
子供の頃の河川も大雨が降れば堤防を越えて水が氾濫して田畑や道が浸水すると言うことが起きていた。
この頃は未だ多くの堤防は土のままで河川の周りには広い河原が広がっており、水鳥や多様な生物の生息場所となっていた。
上流から流れて来た水は先ずこの河原を埋めて更に増水が続くと堤防を越えて溢れ出していく。
一方、高度成長に伴い都市部に人口が流入して、その生活水を確保する目的から川に上流域には幾つもの巨大ダムが作られた。
上流で降った雨はダムに流れ込み、貯水量を越えそうになると、下流の川に放水される。
そうなると膨大な量の水が川を下っていくこととなり、河川の役割は如何にその水を下流に、そして海へと流すかと言う「通路」となる。
そのために広かった河川敷の内側にコンクリートで鋭く切り立った堤防を作ることになり、増水した際には濁流が凄まじい勢いでなだれ落ちることになる。
ここに昨今のキャンプブームがもう一つの要因となって加わる。
多くの人々が水辺での活動を楽しもうと川に押し寄せて来る。
ところが前日の様に河川の構造は、そこで人々が遊ぶと言うことを想定していない。
多くの川が、そこに降りていくのでさえ難しいのが実情だ。
遊んでいる周辺で雨が振らなくとも上流で急な大雨がありダムから放水があったり、上流域でゲリラ豪雨があった水が河川に流れ込むと、水位は急に増す。そして水速も。
コンクリート堤防により水位も水の流れる速度も増す。
狭くなった河川敷が水没しても堤防に上る道までが既に水没。取り残される。
こうして川の中に取り残される事故が相次ぐことになる。
また川の中も水の速度が増した為に堆積物の移動が激しくなり川底の形状も複雑になっている。
川床にコンクリートブロックを入れていたところでは数十年の間に上流から流れて来た土砂ですっかりと覆われてしまっている様なところもある。
キャンプ場の整備に当たっては、この様な昨今の河川の特質をよく理解した上で護岸、川床の構造、材料を変える他、あらゆる状況の変化に関する情報を来場者に周知する必要があろう。
元より河川は危険な場所であるとの認識を来場者が持つことが一番大切だ。
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