口下手童貞少年、ナンバーワンホストになる ⑬ 謎の女 編

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私生活は我慢の連続であったが、

店で酔っぱらっている時だけは楽しかった。


さらに大きい出来事もあった。


私がBに面接に行くきっかけになった

風俗誌に、

ナンバー1として私の写真が半ページ程使い掲載されたのだ。


社長が、


「あれだけ一晩で売上あげたんだからいいだろ。」


という事で私を半ページ掲載するという事のOKを出したのだ。

普段は、目立ちたがりな社長が大きく風俗誌に掲載されていたのだが、

社長が通常の自分が掲載されているスペースを譲り、私を掲載してくれたのだ。



それから、私の写真を見てBにたまに新規が来るようになった。


いきなり今まで無名だったホストがナンバー1になったので、

物珍しさがあったのだろう。


私は、Yの存在もあったので色恋をする事はほとんどなかった。

それでも、恋人として求めてくるお客さんには中途半端に色恋をした。

中途半端とは、

付き合う様な事はせず、

絶対に体の関係になったりしないような距離感を保ちつつ、

好きだとたまに言うような・・・


今考えれば

パンチが届かない距離から

パンチを放ち続ける

アウトボクサーの様な感じだ。

パンチが当たっていない・・・。

倒れるわけがない・・・。


やはり中途半端な色恋では、

お客さんは長くは続かなかった。

だが一応、

その頃にはちゃんとした格好と

増強中の引出。

後は酒の力を借りて、

場を盛り上げる事は、

ある程度できる様になっていた。


自分に課していた、

「カラオケに逃げない。」

「飲ませ合うゲームに逃げない。」

「必ずちゃんとした会話をする。」

というルールを出来るだけ守って。


その結果、お客さんをコントロールは出来ないが、

色恋抜きで私を指名して店に来てくれるお客さんも、

わずかだが出来てきた。


だからと言って生活が出来る様になっていたかと言えば……

なっていなかった。

一日に一人自分のお客さんが来てくれたとしても、

来てくれているお客さんが3万程度の会計では月100万もいかない……。

正直、色恋全く無しで

一日一人確実にお客さんを呼ぶという事は、とても大変だった。


というか、その頃の感覚では絶対無理だった。
事実、呼べていなかった……


お金なんかまったくないのに、

ナンバー1という響きが余計に情けなく感じた。


私生活はさらに悪循環だった。


仕事でお客さんと連絡をとらなければいけない。

連絡をとるとYがそばにいる場合は内容を聞いている。

喋りづらいので離れると

「ここで話せばいいじゃん。」

と言ってくる。


携帯の発着信をチェックしてくる。

Yが腑に落ちない所はしつこく問いただしてくる。


だから私はお客さんの電話に出なくなる。

お客さんも次第に電話をくれなくなるし、

電話をしても出てくれなくなる。



いい加減私は、Yに詮索されるのに疲れていた・・・。


そんな時期に、

一人の謎の女性がBにやってきた。


二人で新規で来店し、1時間程度過ごした頃だったのか、

片方の女性が


「K君呼んでほしいんだけど?」


とJUさんに伝えたらしい。


JU「Kちゃん、あっちの席新規の子が呼んでるよ。

・・・かわいいよ。」


私「まじっすか!?すぐ行きますよ!」


という様なやりとりをして私は新規の席についた。


席に着くと、一人はギャルっぽい感じで、

普通にかわいい容姿の子。

細身でスタイルは非常に良かった。


もう片方の女の子は、対照的に色白で、

ブラックライトという暗い照明でも、

茶髪だという事がわかった。


その茶髪をゴージャスに巻いており、

当時ニュースにもなっていた

イッツ名古屋巻きだった。


目は大きくはないが、

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